ついに日本劇場公開となったアクション超大作『ワンダーウーマン 1984』。前作に続き、強く、美しく、心優しいスーパーヒーロー、ワンダーウーマンを演じるガル・ガドット、そして新たなヴィランとして登場するチーター役のクリステン・ウィグがリモートインタビューに応じ、本作がもたらした女優人生の変化、さらにはアクションの限界に挑んだハードな撮影の舞台裏を明かした。
【写真】『ワンダーウーマン 1984』劇中のガル・ガドット&クリステン・ウィグ
本作は、大ヒットを記録したDC映画『ワンダーウーマン』(2017)の続編。舞台は好景気に沸く1984年。米首都ワシントンD.C.のスミソニアン博物館で考古学者として働きながら、さまざまな脅威から人類を守り続けてきたワンダーウーマンことダイアナ(ガル)が、“禁断の力”を手にした実業家マックス(ペドロ・パスカル)の恐るべき陰謀、そして彼によって生み出された正体不明の強敵チーター(クリステン)との壮絶な戦いに挑む。前作に続きパティ・ジェンキンス監督がメガホンを取り、永遠の別れを告げたダイアナの恋人スティーブ(クリス・パイン)が謎の復活を遂げる。
●女優人生を変えた『ワンダーウーマン』の影響力
ワンダーウーマンを演じたことが「女優として大きな転機になった」と語るガル。「強くて、善良で、独立した女性ヒーローというインパクトのある役柄で世界中の人々に紹介されたことは、とてもラッキーだったと思います。最近は、オーディションでしのぎを削ることもほとんどなくなりましたし、キャリアも、仕事を取り巻く環境も、全てが一変しました。本当に感謝してもし切れません。ただ、私を包んでくれる家族や大切な友人たちとの関係は、今も昔も変わっていません」と笑顔を見せる。
本作では、その熱い思いからプロデューサーとしても名を連ねるガルだが、続編の構想は、すでに第1作目の撮影途中に生まれていたという。「まだ観客の反応もわからないのに(笑)、私とパティは夢だけは持っていたの。もし続編を撮る機会があったら、その時はダイアナを全く違う局面に置こうと話し合っていたんです」。
一方、今回新たに登場するダイアナの同僚で考古学者のバーバラ(のちに呪いによってチーターと呼ばれる半獣半人に変身)を演じたクリステンは、アメリカンコミックの本格的な悪役を務めるのはキャリア初。「私も原作の大ファンだったので、オファーをいただいた時はすごくワクワクしました。言葉で言い表せないくらいうれしかった。でも、同時に大きなプレッシャーも襲ってきたんです」と吐露する。「だって、チーターといえば、『ワンダーウーマン』の中で最も有名な敵でしょ? それに、変身前のバーバラもダイアナに憧れる野暮な学者だけれど、ユーモアのさじ加減が難しそうで。何よりファンをガッカリさせたくない、裏切りたくない、という思いが強かったので、パティを質問攻めにして、なんとか演じ切ったという感じですね。本当に学びの多い現場でした」。●超絶ワイヤーバトルをシルク・ドゥ・ソレイユが指導
人間の心に目覚めていくダイアナの成長とともに、アクションもさらに激しさを増していった本作。それは、ジェンキンス監督の「本物へのこだわり」だとガルは強調する。
特にワイヤーを使ったアクションは苦戦を強いられた。「CGで使われている補助的なワイヤーアクションならなんとかこなせると思いますが、ワイヤーだけで本格アクションを表現するとなると、その道のプロでなければなかなかできないこと。そこで、『シルク・ドゥ・ソレイユ』の方々に現場に来ていただいて、動きや振り付けなどを厳しく指導してもらいました」と述懐。さらに、兵役のあるイスラエルで生まれ育ったガルは、以前、ワンダーウーマンを演じるに当たって、「軍でのトレーニングが生きた」と語っていたが、本作では、ダンス経験がアクションに役立ったと明かす。「私は昔、振付師を目指していたので、ダンスをやっていた時期があるのですが、その経験が役立ちました。ワンダーウーマンのアクションは、彼女自身が攻撃的なのではなく、相手を傷つけず、平和を追求するための戦い。それがダンスの振り付けとすごくマッチするところがあったようですね」と振り返る。
そんなガルの敵役に選ばれたクリステンは、どちらかといえばアクションとは縁遠い女優だっただけに「トレーニングはとにかく大変でした」と告白。
「宇宙以外の陸・海・空、全ての場所で戦ったよね」と冗談まじりに言い合うガルとクリステン。CG映像とは全く違う重量感を持った迫力の実写映像は、スクリーンで観てこそ価値がある。2人が身を削って作り上げたスーパーバトル、特にIMAXで観る高精度の映像は度肝を抜くことだろう。(取材・文:坂田正樹)
映画『ワンダーウーマン 1984』は公開中。