昨年10月28日、約9年間にわたりエースとして活躍した1期生・白石麻衣が卒業した乃木坂46。そこから3ヵ月後のリリースとなるグループの最新シングル『僕は僕を好きになる』は、彼女たちの“転換点”でもある。

本作の表題曲では、黎明(れいめい)期を築いた1期生や2期生に見守られながら、山下美月が3期生として初めての単独センターに抜てきされている。大きな変化を前にして、メンバーは何を思うのか。山下をそばで支えるフロントメンバーで彼女と同期の梅澤美波、そして、初めての選抜メンバー入りを果たした4期生の田村真佑、清宮レイに話を聞いた。

【写真】美しく、かわいく、天真らんまん 梅澤美波&田村真佑&清宮レイの撮り下ろしグラビア

■3期生としての役割「先陣を切って背負わなければいけない」

――梅澤さんは22ndシングル「帰り道は遠回りしたくなる」(2018年11月14日リリース)以来のフロントメンバーに選ばれました。センターの山下さんを同期の久保史緒里さんと共に隣から支えるポジションとなりましたが、それに対してどのような思いがありますか?

梅澤:選抜メンバーの発表には「山下と久保と支え合ってほしい」というメッセージを強く感じました。先輩方や4期生もいる中で、私たちが先陣を切って背負わなければいけないと思っていて。MVの撮影後も、山下や久保と「1人で何かするよりも、助け合いながら作っていかなければ」と話しましたし、私なりの覚悟を決めました。

初めてフロントメンバーになれた「帰り道は遠回りしたくなる」の当時は自信なんてこれっぽっちもないし、何を期待されているのかも分からなかったんです。でもその後、覚悟を背負って立たなければいけない場面が増えるにつれて、当時の自分に対する後悔も生まれてきて。その経験があったからこそ今は強くいられるし、3期生としても加入5年目になったので「もう、そんな弱さは捨てよう」と思いました。

――4期生の田村さんと清宮さんは、加入から約2年で初めての選抜メンバー入りを果たしました。選ばれた当時の心境や、現在の思いはいかがですか?

田村:ほかのメンバーが呼ばれている中で「今回もたぶんダメだったんだな。
次、もっと頑張らなきゃ」と思っていました。だから、自分の名前が呼ばれた瞬間は頭が真っ白になってしまって…。とっさに「あ、ハイ」としか返せなかったです(笑)。ただ、時間が経つにつれて、だんだんと選抜メンバーとしての実感も湧いてきました。

今回のシングルまで、選抜メンバーになりたいと思ってはいたものの、そこの景色はどこか違う世界に見えていたんです。先輩たちやすでに選抜メンバーになっていた同期の姿が、とてもキラキラしていたから。それに、4期生は自分たちだけの活動が多かったので、個人的には「自分は乃木坂46の“4期生”だ」という括(くく)りで考えてしまっているところがあって。でも、今回の表題曲で「選抜メンバーとしても、4期生としても頑張る」と新たな目標ができました。

清宮:4期生は先輩方と一緒に活動をする機会が限られていたので、純粋にうれしかったです。MVの撮影でも、ポジションとして近くに1期生の松村(沙友理)さんや2期生の新内(眞衣)さんがいるのが心強くて。センターの山下さんにも、いろいろなことを教えてもらいました。でも、シングルの活動を重ねるにつれて、うれしさだけではダメだと思い始めて。
今回だけで終わってしまったら悔しいし「ちゃんと次につなげていかなくちゃいけない」と気を引き締めるようになりました。

選抜メンバーの活動が始まった10月頃からは、4期生ライブ(2020年12月6日に無観客形式で配信)の準備も重なっていたので限界ギリギリだったんです。でも、乗り越えられたことで少しずつ力も付いてきました。自信を持てるようになってきたし、最近は、4期生のみんなからちょっとだけ頼ってもらえるようになりました(笑)。■白石麻衣の卒業で「変化をマイナスに捉えている人は1人もいない」

――昨年10月28日には、1期生の白石麻衣さんが卒業しました。皆さんにとって、白石さんはどのような存在だったのか。また、その後のグループの変化について何を思うのか教えてください。

梅澤:3期生や4期生は白石さんのファンだった子も多く、好きになった乃木坂46そのものでした。私も白石さんをきっかけにグループを好きになり、オーディションを受けた1人だったんです。

私自身も純粋なファンだったから感じますが、ファンの皆さんは画面やステージを通して、きっと自分たちを美化して見てくださっていると思うんです。でも、白石さんは加入前からの印象が変わらなくて。一緒に活動していても憧れや好きな気持ちがまったく薄まらなかったのは、それほど完璧な人だったからだと思います。


乃木坂46について「白石さんなら知っている」という人もいるし、そんな先輩が卒業したことに対して“一つの節目”と言われるのも分かる気はしますし、私たちも思います。ただ、グループの雰囲気は変わっていません。加入や卒業は過去にもあったし、私は卒業コンサートから先で「変化をマイナスに捉えている人は1人もいない」と感じていて。だからこそ今は、白石さんが卒業してしまったあとのグループではなく、しっかりと私たちだけでも「乃木坂46として見られるように」頑張らなければいけない気持ちが強いです。

田村:加入前から誰もが知っているような方でしたし、私にとっては、一緒にお仕事ができるとは思っていなかったほどの存在でした。実は、一緒に現場でお会いしたときに勇気を出して声を掛けたこともあって。私が「お洋服はどこで買っていますか?」と聞いたら、ほかのお仕事もあって疲れているはずなのに、フレンドリーに「ここで買ってるよ」と答えてくださったんです。

ただ、梅澤さんが言っていたように、グループの雰囲気は変わっていない気もします。先輩方がいなくなる悲しさや寂しさはもちろんあるけど、決して悪いことではないし、むしろ変化も楽しんでいただけるようなグループになっていければと思っています。

清宮:今回のシングルまでは、先輩たちと活動する機会が限られていたので、白石さんとも振り返ってみると「お話できたことあるかな」と思うほどでした。でも、卒業コンサートの当日は心に来るものがあったし、乃木坂46にとってもメンバーにとってもすごく支えになる方だったので、寂しかったです。

距離感としては、ファンの皆さんと一緒だと思います。
卒業される前から、同期の筒井あやめたちと一緒に、白石さんのYouTubeチャンネルを見ていたので。動画を楽しみながら、近況をチェックしています(笑)。

■3期生と4期生はグループの未来に向けて「変わらなければいけない時期」

――2019年11月26~27日に行われた「3・4期生ライブ」をはじめ、コント番組『ノギザカスキッツ ACT2』(日本テレビ/毎週月曜25時29分)など、3期生と4期生の距離がここ1年ほどで縮まった印象もあります。お互いの関係性を、それぞれどう考えていますか?

梅澤:何かを求められたり期待されたりしているのは伝わってくるので、3期生も4期生も変わらなければいけない時期かなと思います。それこそ自分たちが“グループの顔”と言われるまでに、個々のメンバーが乃木坂46を代表できる力を付けていけるのが理想です。最近では、同期の山下が『ヒルナンデス!』(日本テレビ系/毎週月曜~金曜11時55分)の水曜シーズンレギュラーを務めているのを見て、個々の活動が本人にとってもグループにとっても強みになると思いました。

4期生のみんなは、昨年2月に新4期生として5人が加入してから、1つのチームとしてもっともっと強くなっていけると思っていて。3期生の自分たちは一緒に全員で何かをやる機会もだんだんと少なくなってきたので、一人一人が強くなるべき時期だなと感じています。

田村:私にとっては、1期生や2期生の先輩方よりも接する機会が多いので、3期生の皆さんの背中が一番大きく見えるんです。自分たちが学ぶことを考えても、すぐ目の前を歩いてくださっていて。個人的にはMCを任されるときもあるので、梅澤さんの立ち回りを見て「こんな回し方をできるようにならなければいけない」と思っています。3期生の皆さんからどんどん吸収するのが自分たちの一番の近道だし、それこそ『ノギザカスキッツ』では、先輩方の演技やスタジオでのトークを間近で見られる機会としてありがたい気持ちでいっぱいです。


清宮:コントを通して3期生の皆さんの姿勢を近くで見られるのは、4期生として本当に恵まれているなと思います。振り返ると「3・4期生ライブ」の当時は、ただ背中を見ながら付いていくばかりだったから。『ノギザカスキッツ』で共演するようになってからの環境は、自分にとってもすごくいい学びの機会になっています。■フレンドリーな二人をマネしたい

――互いに手を取り合いながら、今後の活躍も期待される3人。インタビューも残りわずかになりましたが、お互いの印象も教えてください。梅澤さんは田村さんや清宮さんに、どんな印象を持っていますか?

梅澤:真佑ちゃんとは境遇が似ていて。4期生の中では最年長だし、私も年長組として加入当初から仕切り役などを任される機会も多かったので、ずっと気にかけていました。でも、先日の「4期生ライブ」のMCを見ていても、周りをきちんと見ているし何一つ心配がなかったです。「3・4期生ライブ」の当時から考えても成長のスピードが早いし、ラジオのレギュラー番組『レコメン!』(文化放送/毎週月~木曜22時 オテンキのりと毎週水曜24時台のダブルパーソナリティーを担当)で身に付けたトークスキルは、勉強になります。

田村:(照れて)そんなことないです!

梅澤:あと、レイちゃんも真佑ちゃんもフレンドリーなのは共通点です。二人とも自分から先輩に接して行けますし、いい意味で遠慮しないのは良さなので、そういう姿勢はマネしたいなと思います。

田村・清宮:(笑顔)

梅澤:一方でレイちゃんは、とにかく笑顔が印象的じゃないですか(笑)。
でも、いろいろと考えているんだろうなと感じる瞬間もたくさんあります。それに、持ち前の明るさは絶対にプラスになると思っていて。選抜メンバーとしての活動でも、レイちゃんのちょっとした行動でみんなが笑顔になれるし、見習いたいなと思います。

――4期生のお二人から見た、梅澤さんの印象は?

田村:すごく優しいんですよ。私が今回のシングルで初めて選抜メンバーに入ってから「困ったこととか分からないこともあると思うから、相談に乗るからね」と連絡をくださったんです。現場で一緒になったとき走って駆け寄っていっても、両手を広げて受け止めてくださったり(笑)。でも、ほかのインタビューでは「スクランブル交差点」が言えないとか、しっかりした一面もありつつ、お茶目な部分もかわいらしくてすてきです。

清宮:私から見た梅澤さんは、とにかくカッコいいです! 現場でご一緒するたびに、そう感じる瞬間が多いんです。3期生の(大園)桃子さんが梅澤さんとすごく仲が良くて、彼氏みたいに二人でいるのがうらやましくて。

梅澤:(レイちゃんは)桃子推しだから(笑)

清宮:違うんです! 私も本当は桃子さんみたいに振る舞ってみたいけど、梅澤さんのことを好き過ぎてどうしたらいいか分からなくて…(笑)。背中で語るみたいな、口には出さずとも熱い心を持っているのが大好きです。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:ヨシダヤスシ)

 乃木坂46の26thシングル『僕は僕を好きになる』は発売中。

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