2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションで、審査員特別賞を受賞し芸能界入りした女優の山崎紘菜。今年は芸能活動10周年の節目を迎え、映画『ブレイブ -群青戦記-』ではヒロイン、『モンスターハンター』ではハリウッドデビューを果たすなど、大作出演が続くが、本人は「あまり区切りという気持ちはない」と冷静だ。



【写真】芸能活動10周年・山崎紘菜 美しさ際立つ撮り下ろしカット

■今まで演じたことないような強さを持つキャラクター

 スポーツ強豪校の高校生たちが、突如戦国時代にタイムスリップしてしまい、時代改編を試みる敵たちと戦う姿を描いた『ブレイブ -群青戦記-』。山崎は全国レベルの腕を持つ弓道部所属の瀬野遥を演じているが、女性でありながら、絶対に涙を見せず勇敢に立ち向かうヒロインを好演。

 メガホンをとった本広克之監督からは「男が憧れるようなヒロイン像」というオーダーがあった。山崎自身もこれまでさまざまな作品に出演しているが「ここまで強い芯が通ったキャラクターは初めて」と大きなチャレンジだったことを明かすと、人を惹(ひ)きつける魅力をどう表現するのか…いうところに注力した。

 もともと手足の長いスラっとしたスタイルは、凛(りん)とした印象を感じさせるが「立ち振る舞いや動作はもちろんなのですが、どんなに苦しくても人に弱さを見せないメンタルがにじみ出るような人物にしたかった」と役へのアプローチ方法を語った。

■オーディションで競った同期の思いも背負って…

 山崎にとって2021年は、「東宝シンデレラ」オーディションによって芸能界入りしてから、10年という節目の年になる。「もちろんここまで続けてこられたことは誇らしいとは思います」と笑顔を見せるが「10周年だからといって、なにか気持ちに変化があったり、節目としてなにか振り返ったりするようなことはないです」とあくまでこれまでの1年と変わらないという。

 一方で10年という歳月は大きな変化ももたらした。自身と同じくオーディションで芸能界という道に進んだ同期への思いを語る山崎。

 「ありがたいことに私はこうして10年間、好きなお仕事を続けられることができていますが、別の道に進んだ子もいます。そういう子たちの思いを背負って、しっかりお芝居に向き合わなければいけないと強く感じています」。■なにかを与えられる女優になりたい

 強い思いで進む女優道だが、山崎自身も、これまでの活動の中、役に対するプレッシャーや、自信をなくして“迷い”に心を支配されることは多々あった。
結果を意識するばかり、押しつぶされそうになることもあったが、ある人から「山崎紘菜が頑張る姿が、誰かに勇気を与えているんだよ」と声を掛けられ「結果よりも、一生懸命頑張ることが大切なんだ」と肩の力が抜けた。

 そこからは「長期的な目標を立てるのではなく、作品ごとにテーマや目標を決めて、一つ一つ課題をクリアしてくようにしている」と自身の女優のスタンスを語った山崎。本作では、強さが内からにじみ出るようなキャラクター作りにチャレンジした。同時に、作品に内在する「人が人を思う気持ち」をしっかり伝えていきたいという思いも湧いてきたという。

 そこには、前述した言葉をはじめ、これまで受けてきたいろいろな人からの愛情を、山崎自身も多くの人に伝えていきたいという思いがある。「誰かに愛されたいとか、なにかを求めていると、意外と得られないことが多い気がするんです。だから私は、ものすごく偉そうな言い方に聞こえるかもしれませんが、なにかを与えることができる女優さんになりたいと思っています」。

■歩みを止めずに進んでいきたい

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中が大きな混乱に直面している。エンターテインメント業界も、大きな打撃を受けている。

 山崎は「イベントやスポーツの大会が開催されなくなってしまい気を落とされている方、一生懸命頑張ることって報われないんじゃないかと感じてしまっている方が世の中にたくさんいると思うんです」と現状を慮ると「この映画には『いまを必死に生きることが未来に繋がる』というメッセージが込められています。きっと映画を見終わったあと『一生懸命頑張るってすてきなことなんだな』と感じていただけると思います」と作品をアピール。

 山崎自身も「自分が一生懸命頑張る姿勢や、どんな状況でも前を向き続ける姿を見てもらいたい」と強い視線を向けると「いろいろと制限がある中、絶対に後ろを向かないし、落ち込まない。
歩みを止めずに進んでいきたいです」と前を向くことを誓っていた。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)

 映画『ブレイブ -群青戦記-』は全国公開中。

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