変化し続ける乃木坂46。27thシングル「ごめんねFingers crossed」の活動をもって、1期生の松村沙友理、2期生の伊藤純奈渡辺みり愛が卒業する。

その表題曲メンバーである1期生・星野みなみ、2期生・新内眞衣、3期生・梅澤美波が明かすのは、それぞれの立場から見た“今”の乃木坂46へ懸ける思い。3人に、選抜メンバー発表時の不安や緊張、卒業する松村との思い出、それぞれの卒業への思いを聞いた。

【写真】卒業への思いを明かした星野みなみ、新内眞衣、梅澤美波

■選抜入りは「当たり前のことじゃない」

――8月で成10周年を迎える乃木坂46。結成初期を知る1期生の星野さんと2期生の新内さん、加入から約4年半を数える3期生の梅澤さんは、ライブをはじめ活動に対する経験も豊富。過去に何度も、選抜メンバーに抜てきされています。それでもなお、選抜メンバー発表には不安や緊張を抱えているのでしょうか?

新内:やっぱり、あります。私は元々、アンダーメンバーの期間が長くあったし、選ばれるのが当たり前だと思ったことは一度もないです。むしろ、いつも崖っぷちの気持ち。不安はあるけど名前を呼ばれたときは、ファンの皆さんの顔が浮かびます。皆さんに支えられているから頑張ろうと思えるし、毎回、新鮮な気持ちです。

――崖っぷちとは、意外な言葉でした。星野さんは、選抜メンバーが発表される現場の空気感をどう感じていますか?

星野:眞衣ちゃんと同じで、当たり前とは思っていません。
ただ、初期の頃のように結果に一喜一憂するのではなく、選ばれたメンバーに対して、みんなが「おめでとう」と祝福する空気になったと思います。以前は、『乃木坂工事中』(テレビ東京系/毎週日曜24時)で司会のバナナマンさんが紹介してくれていたけど、その機会もなくなったから、発表の場ではメンバー同士で「良かったね」と声を掛け合ったり。そんなグループの雰囲気がすてきだと思います。

――10年近い歴史を経て、グループの空気が変化したと。梅澤さんは、選抜メンバー発表の前後で、どのような気持ちになりますか?

梅澤:私は、いつも怖いです。その場の空気感も苦手ですし、スタッフさんから発表の日を告げられてからずっと緊張しています。スタッフの方々は私たちに対する期待も込めて、フォーメーションを作ってくださっていると思いますが、前作のシングルでの結果が出てしまう不安もあります。発表の瞬間は、例えば、1列後ろに下がってしまったら「力になれなかったんだ」と思いますし。時間が経てば気持ちも少しずつ楽になっていきますけど、やっぱり選抜メンバーに入れるのは当たり前だと思っていません。■卒業する松村沙友理の素顔

――最新シングル「ごめんねFingers crossed」は、1期生の松村沙友理さんのラストシングルとなります(取材時は伊藤純奈、渡辺みり愛の卒業は未発表)。そこで、皆さんにお聞きしたいのが松村さんとの思い出。初めて会ったときの印象は、覚えていますか?

新内:私は、1期生の皆さんの舞台『16人のプリンシパル』の時期に初めて会いました。
でも慌ただしかったから、実はそんなに覚えていないんです。緊張していたし、自分たちの自己紹介で精いっぱいという感じで。

――その後、松村さんとはどのように距離を縮めたのでしょうか?

新内:はじめは、私自身がアンダーメンバーとしてスタートしたから、選抜メンバーのまつ(松村)と接する機会が少なかったんです。ましてや、御三家(白石麻衣橋本奈々未、松村へ対するファン発信の愛称)と呼ばれるほどの大先輩だったから。でもその後、アンダーメンバーのライブを見に来てくれたときに、まつから長文のメッセージをもらったんです。「ここが良かったと思う」「ここはこうした方が良かったかも」と、アドバイスをくれて。なぜ、送ってくれたのかは今も分からないままですけど、そこから仲良くなれた気がします。

――同期の星野さんは、後輩の皆さんとはまた違った印象を持っていそうです。

星野:初めて会ったときから、明るいお姉さんみたいな感じです。5歳ほど年齢は違うけど、年上っぽさを出すわけでなく、最初から話しやすかったです。会話の中心にいるのは、昔も今も変わらず。周りが明るくなれるようにいつも笑っているし、みんなの輪の中心にいます。


――朗らかで明るいキャラクターは、そのままなんですね。梅澤さんから見て、松村さんはどんな先輩ですか?

梅澤:私は、加入する前に松村さんの握手会へ参加したことがあって。一緒に活動するようになってからは、ギャップに驚きました。ファンとしては“ザ・アイドル”のように思っていましたけど、メンバーを代表して発言するときの言葉選びには、グループのためを思う気持ちが表れていて。自分で「さゆりんご軍団」を作るプロデュース力もすごいし、舞台裏で見せる真剣な表情に心打たれました。

――三者三様に見た、松村さんの魅力が伝わってきました。ちなみに…。今、このインタビューの場にいないからこそ言える“私だけが知っている”松村さんの素顔は?

梅澤:私は全然、知らないことの方が多いから。後輩の立場から、むしろ逆に知りたいくらいです。

星野:裏表がなくて、テレビに出ている姿そのままだし、基本はファンの皆さんが知っている通りかな。

新内:ん~、でも…。すっごいくだらなくていいですか?

――はい。
ぜひ。

新内:まつは、とにかくサーモンが大好きで。一緒に買い物に行ったとき、ものすごく大きなサーモンを買っていたんですよ。「一人でそんなに食べられるの?」と思うほどのサイズ(笑)。それを、ニコニコしながら持ってきたのが印象に残ってます。

――インパクトあるエピソードですね(笑)。

新内:あと、私とみなみちゃんを「カップル」と言ってくるんですよ。

星野:(笑)。取り合いになるんだよね。

新内:2人で一緒に話していると、カップル感があるらしくて。

星野:いつもイジってくる。(秋元)真夏とまつが。


新内:最近、本当に。「あ~、またカップルいるんだけど」って(笑)。

星野:まつが卒業すると、そう言ってくれる人が少なくなってしまうから。寂しくなっちゃうかも。■それぞれの“卒業”への思い

――メンバーの卒業は、皆さんそれぞれが卒業を考えるきっかけにもなりそうです。そこで、一人一人お聞きしたいのですが、まず、松村さんと同期の星野さんから。1期生も松村さんの卒業で7人となりますが、変化の中で、自身の卒業を考えることはありますか?

星野:卒業していく子たちを見送るのは寂しいし、年々、考える度合いも高まっている気がします。毎回のシングルも「卒業したとき後悔がないように」と取り組んでいるし、そのために精いっぱい頑張ろう、楽しもうと思っているから。きっと卒業を考えていない子はいないと思います。

――29歳の新内さんは、グループの最年長メンバー。アイドルとしてはやはり“セカンドキャリア”を考える時期と言われることも多いと思いますが、自分の卒業を考えますか?

新内:みんなと一緒で考えないことはないですけど、正直、こうした話題をずっと避けてきたんです。卒業を匂わせるような発言をすれば、ファンの皆さんは「もうすぐ辞めてしまうのかな」と不安になってしまうと思いますし。
だから、先のことは言わないようにしています。ただ、29歳になってからよく「30代をどう過ごしたいか?」と聞かれるようになって。目上の方からもよく「30代が一番楽しいよ」と聞くので、楽しく人生を謳歌(おうか)していきたいです。

――梅澤さんはじめ、12名の3期生は卒業生がゼロです。それでもやはり、先輩方の卒業を受けて思うところはありますか?

梅澤:やっぱり、考えることはあります。「3期生はこれからだよね」と言っていただける機会も多いですけど、正直、卒業となると加入した時期やメンバーとしての経験年数も関係ないと思っていますし。みんな先を見据えて活動しているから、考えていない子はいないと思います。

 1期生から3期生まで、加入した時期が異なる3人が語ってくれたそれぞれの思い。メンバーの卒業は、寂しさが残るばかりではない。次の道へ進もうと決断したメンバーを見送った先で、グループの形が変化していくのも乃木坂46ならではのドラマ。最新シングルでの活動を経て、彼女たちはまた強くなっていくだろう。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:高野広美)

 乃木坂46の27thシングル「ごめんねFingers crossed」は6月9日発売。

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