1960年代からの三部作、2005年の神木隆之介主演による平成版『妖怪大戦争』を経て、令和版の映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』で堂々主演を務めた寺田心。3歳から芸能活動を開始した彼も、気づけば13歳。

あどけなさと、変わらぬ礼儀正しさ、さらに変声期に突入した”大人っぽさ“も加わった現在の寺田心・13歳の素顔とは――。

【写真】あどけなさに大人っぽさも加わり“イケメン”になった寺田心くん 撮り下ろしカット

■ワイヤーシーンに苦戦もアクションは「超人になったような気持ちで楽しい」

――本作で演じているケイという少年は怖がりという役柄ですが、寺田さんの怖いものは何ですか。

寺田:僕自身怖がりで、そこがケイとの共通点ですが、特にお化けが本当に苦手で。だからこれまではできるだけ怖いものに触れずに来たんですが、今回初めて怖いものに頑張って向き合いました。特殊メイクとか小道具とかすごくこだわられていることと、妖怪役の皆さんの演技が相まって、本当に怯えていました(笑)。

――特に怖かったのはどの妖怪ですか。

寺田:申し訳ないのですが…姑獲鳥(うぶめ/安藤サクラ)さん。中身はすごく世話好きで優しいお母さんの妖怪なんですが、見た目だけでいうと、血のついた布を着て赤子さんを抱いていらっしゃって、夜に見ると「うわ~っ!」って言っちゃいそうなくらいで。怖いシーンを撮影しているときには、怖い夢も何度か見ました。ただ、この作品に出会ったことで、妖怪にはお化けや幽霊と違って、ちょっと人間味があってかわいいとも思えるようになりました。特に、スネコスリは本当にかわいいので、実際に会ったらお友達になりたいと思いました。

――お化け以外で怖いものはありますか。


寺田:一番怖いのは、仕事で遅刻とかをしてしまうことですが、それは怖いというよりも申し訳ないという気持ちがすごく強いから、そういうことを起こさないように気をつけて頑張っていこうと思います。

――本作ではアクションシーンも見どころの一つですが、大変でしたか。

寺田:今回初めてワイヤーシーンに挑戦したんですが、地面に足がついていないときは体が思ったように動かなくて大変でした。でも、逆に、人間離れした動きをしているときは、自分が超人になったような気持ちで楽しかったです。僕、怖がりですが、不思議と高いところは平気なんです。

――クライマックスシーンで妖怪が大集合となるシーンは迫力がありますね。

寺田:特殊メイクや衣装、小道具などにすごくこだわられていて、妖怪そのものに見える上に、ものすごい数の妖怪が集まることで、本当の妖怪の世界に来てしまったように見えて、不思議な感覚でした。それに、歌のシーンでは大きな桜の木が咲いていて、それがすごく美しくて感動しました。なんだか突然泣きたくなっちゃうような、涙があふれるシーンでした。■「大人っぽくなった」心くんの自覚―“どんどん低くなる声”と“服の好み”

――映画では「選ばれし少年」という役ですが、ご自身も前作の神木隆之介さんからバトンを受け取るという、まさに「選ばれし少年」でしたね。共演した際、何かアドバイスはもらいましたか。

寺田:神木隆之介さんには当時、どんな役作りをされたのかをお聞きしたのですが、「目の前にあるもの、感じるものをそのまま受け取って、思ったことをありのまま表現すればいいんじゃないかな。
そのままで良いと思うよ」とアドバイスいただきました。だから僕も、目の前で起こっていることに対して感じるままに表現しようと思いました。動き方などを三池(崇史)監督がすべてわかりやすく教えてくださったことも安心感になりました。

――お芝居するときと普段とではスイッチをどう切り替えていますか。

寺田:切り替えもあるけど、例えばこの作品だったら、ケイと一体化するというか。一体化はするけど、神木さんにアドバイスいただいたように、思ったこと感じたことをそのまま表現することは考えているので、そこは意識というか、切り替えなのかな。

――本作の完成披露舞台あいさつに登場した際に、SNS上で「大人っぽくなった」「イケメン化した」という声がたくさん出ていました。

寺田:まさかイケメンだなんて、そんなそんな、そんなそんな(顔の前で手を大きく横に振る)…うれしいですけど(照)。たぶん衣装さんたちがかっこいい感じにやってくださったからだと思います。ただ、自分で言うのはちょっと照れくさいんですけど、昔は水色とかの洋服が好きだったのですが、今は黒とか白とか好きになってきたかなと思います。

――声も以前より少し大人っぽくなった気が。

寺田:そうなんです。
最近、声変わりしてきたなぁって自分でも思います。どんどん声が低くなりつつあるんですけど、撮影中に声が枯れていたりしたらどうしようという心配があって、そこはすごく悩むし、考えてしまうところです。

――ご自身ではまだ子どもだなと思うところもありますか。

寺田:食べ物を前にすると周りが見えなくなるところですね。僕、本当に食べることが大好きで、食べ物を見ると周りが見えなくなって話が聞こえなくなっちゃうんです。好き嫌いがないので、何でも食べるんですけど、その中でもトマトとかアボカドとかは特に好きですね。

――ヘルシーですね(笑)。では、一番テンションが上がるときは?

寺田:家族と一緒にいるときですね。特に祖母とUNOをするときが最近は一番楽しいです。UNOは僕が祖母に教えてあげたんですが、それから祖母もハマっていって。「UNO‼」って言いながら2人でめっちゃ楽しんでいます。■“子役”から“俳優”への転換時期はまだ意識せず 「お芝居は大人になっても勉強」

――幼い頃から本当に落ち着いていますが、緊張することはないですか。


寺田:僕はもともとあまり緊張しないタイプなんですが、むしろこういう取材の場が緊張します。自分が思ったことをちゃんと伝えられているかなぁという心配もあいまって、心臓がずっとバクバクいっています(笑)。

――礼儀正しさや受け答えの大人度の高さから、SNSなどでは「寺田心さん」と「さん」呼びされることも多いです。

寺田:えっ、本当ですか!?(両手で口を覆う) 僕のことを「さん」呼びなんて、それは申し訳ないというか、うれしいというかなんというか、いやいやいや…。皆さんには普通に『心君』でも『心』でも呼んでいただければと思います(ひたすら恐縮する)。

――中学生になりましたね。学校生活は楽しいですか?

寺田:同学年の友達が、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』を一緒に観に行こうと誘ってくれたんですよ。僕が出ている作品を友達が観に行ってくれるのもうれしいし、一緒に行こうと誘ってもらったのは初めてなので、すごく楽しみです。

――中学生だからできること、挑戦してみたいことはありますか。

寺田:いろいろなお仕事に挑戦したいです! 戦隊モノとか時代劇とか完全な悪役とかもやってみたいですね。

――ご自身としては、子役から俳優に移行するのはいつだと思いますか。

寺田:そこはまだ意識していないです。
「子役だから」「俳優だから」っていうことじゃないのかな、と。それに、三池監督から、「お芝居はいつまでも勉強。大人になっても勉強。ずっと学ぶ姿勢でいることが大事だよ」という素晴らしい言葉をいただいたので、それを胸に、何歳になってもずっとお芝居を勉強し続けていきたいと思います。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)

 映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は8月13日全国公開。

編集部おすすめ