夏休みの余韻残る9月の第1週、今夜の金曜ロードショーに登場するのは、“家族で観たい”恐竜パニック映画シリーズ第1弾『ジュラシック・パーク』(1993)。言わずと知れた名作も、すでに公開から28年。

観る者を絶叫に巻き込んだキャストたちの今をご紹介しよう。

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 本作は、マイケル・クライトンの人気小説をスティーヴン・スピルバーグ監督が最新の映像技術を駆使して映画化した作品。コスタリカ沖の孤島に、クローン技術でよみがえらせた恐竜が自由に歩き回るテーマパークが計画され、開園を前に安全性を調査するため古生物学者などの専門家が呼ばれる。しかし、パークは次々とトラブルに見舞われ、檻から放たれた肉食恐竜たちが次々と人間に襲い掛かる。

★サム・ニール(アラン・グラント博士役)

 パークの安全性に疑問を持ちながらも、よみがえった恐竜を目にしてワクワクが止まらない古生物学者のグラント博士。演じるサム・ニールにとって、本作は間違いなく代表作の一つ。シリーズ第3弾の『ジュラシック・パークIII』(2001)のほか、最新作『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』(2022)には、サトラー博士役のローラ・ダーン、マルコム役のジェフ・ゴールドブラムと共に出演する。また、本作が公開された1993年は、カンヌでパルム・ドールを受賞したジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』が公開されるなど、彼の当たり年と言える。『エクスカリバー 聖剣伝説』(1998)ではエミー賞ノミネート、『THE TUDORS~背徳の王冠~』(2007)ではトマス・ウルジーを演じるなど、テレビドラマでも評価を得ている。2017年には映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』にカメオ出演し、続編にも登場する予定。

★ローラ・ダーン(エリー・サトラー博士役)

 グラント博士の公私にわたるパートナー、古植物学者のサトラー博士。食中毒で倒れた恐竜を見かけると、居ても立ってもいられず、自ら巨大なフンの中に手を突っ込んで原因究明に当たる。
そんな情熱的な彼女を演じるのは、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)のホルド中将役が印象的なローラ・ダーン。デヴィッド・リンチ監督作品の常連として知られ、本作出演の前にすでに『ブルーベルベット』(1986)や『ワイルド・アット・ハート』(1990)などに出演。母のダイアン・ラッドと共演した『ランブリング・ローズ』(1991)ではオスカー候補入りも果たした。本作の後も話題作に続々出演し、『わたしに会うまでの1600キロ』(2014)では再びオスカー候補入り。『マリッジ・ストーリー』(2019)でついに受賞を果たしている。『ビッグ・リトル・ライズ』(2017~19)や『ツイン・ピークス』(2017)など、テレビドラマでも活躍。

★アリアナ・リチャーズ(アレクシス・マーフィ<愛称:レックス>役)

 パークのオーナーの孫娘で、緑のゼリーの震えで恐竜が近づくのに気付くシーンで有名なレックス。演じるアリアナ・リチャーズは、幼少期より子役として活躍し、本作のほか『トレマーズ』シリーズ等に出演。しかし、大学卒業を機に女優業から離れて、現在はアーティストとして活躍中。本シリーズには、弟ティム役のジョセフ・マゼロとともに第2弾『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)にも出演。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)公開時にはプレミアにも出席し、懐かしい面々との再会ショットをキャッチされている。

★ジョセフ・マッゼロ(ティモシー・マーフィ<愛称:ティム>役)

 レックスの弟で、グラント博士の著書を読破している筋金入りの恐竜好きキッズを演じたのは、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)でクイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンにふんしたことでも知られるジョセフ・マッゼロ。
5歳の頃から子役として活躍し、以来途切れることなく映画やドラマに出演している。スピルバーグ監督は彼にとってメンターのような存在で、南カリフォルニア大学入学時には推薦文を書いてくれたと告白している。本作のほか、スピルバーグ製作総指揮のドラマ『ザ・パシフィック』や、映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)などに出演。

★ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム博士役)

 3人の識者の中でも、パークの孕(はら)む危険性を特に声高に訴えた数学者のマルコム。演じるジェフ・ゴールドブラムは、『ザ・フライ』(1986)でハエと融合する科学者を演じてブレイク。以来本シリーズのほか、『インデペンデンス・デイ』(1996)と、科学者役が相次いだ。本シリーズには、3作目と4作目を除く4作品に出演している。『グランド・ブタペスト・ホテル』(2014)や『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)などの映画に出演する傍ら、『ウィル&グレイス』(2005)や『LAW&ORDER クリミナル・インテント』(2009~10)などテレビドラマにも出演。また、博士キャラを生かし、ドキュメンタリー『ジェフ・ゴールドブラムの世界探求』がディズニープラスで配信中。2018年にはアルバム『ザ・キャピトル・スタジオ・セッションズ』をリリースし、ジャズピアニストとしてデビューしている。★リチャード・アッテンボロー(ジョン・ハモンド役)

 恐竜をこの世によみがえらせたい!という純粋な動機でジュラシック・パーク建設に情熱を傾ける実業家のハモンド。演じるリチャード・アッテンボローはイギリス出身。
動物学者のデヴィッド・アッテンボローは弟にあたる。1942年に映画デビューし、『砲艦サンパブロ』(1966)と『ドリトル先生不思議な旅』(1967)でゴールデン・グローブ賞を受賞。『素晴らしき戦争』(1969)で監督デビューを果たし、『ガンジー』(1982)でゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞の監督賞を受賞した。以来監督業に専念していたものの、本作出演を機に俳優としての人気が高まり俳優に復帰。『34丁目の奇跡』(1994)や『エリザベス』(1998)などに出演した。最後の監督作は『あの日の指輪を待つきみへ』(2007)。2014年に90歳でこの世を去った。

★サミュエル・L・ジャクソン(レイ・アーノルド役)

 ジュラシック・パークの頼れるチーフエンジニア、アーノルドを演じるのは、『アベンジャーズ』シリーズのニック・フューリー役でおなじみのサミュエル・L・ジャクソン。本作の翌年公開の『パルプ・フィクション』(1994)で、アカデミー賞助演男優賞にノミネート。以来タランティーノ監督作品の常連となっている。このほか、『ダイ・ハード3』(1995)、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)、『キングスマン』(2014)など大作映画に数々出演。待機作に、ニック・フューリー役で出演する『The Marvels(原題)』、ドラマ『Secret Invasion(原題)』などがある。


 新型コロナウイルスによる撮影延期を乗り越えて、シリーズの新作『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』は来年の公開を待つばかり。監督のコリン・トレボロウの話では、クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワード演じる『ジュラシック・ワールド』のオーウェンとクレアの物語と平行して、『ジュラシック・パーク』の博士3人のストーリーが描かれ、オリジナルのファンも満足の作品に仕上がっているとか。こちらにも期待が膨らむ。(文・寺井多恵)

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