前作から10年以上の時を経て、『インディ・ジョーンズ』が帰って来る。ナチにもギャングにも負けないタフな考古学者インディ・ジョーンズが繰り広げる、アクション満載、世界を股にかけた大冒険活劇は、閉じこもりがちな今こそ、世界が待ち望む作品だ。
ファンが長年待ちわびる最新作について、現時点で分かっていることをまとめてみよう。
【写真】マッツ・ミケルセンも! 『インディ』第5弾キャスト一覧
■紆余(うよ)曲折乗り越えて…
フェドーラハットをかぶり、腰には愛用のムチ、考古学者のインディが、太古のお宝をめぐって大冒険! 『インディ・ジョーンズ』の新作が、構想から13年、正式決定から早5年、あまたのトラブルを乗り越えて、もはや記憶が薄れてきた今年、ついに撮影を開始した。
そもそも、第5弾の構想が初めて語られたのは、前作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が公開された2008年。それから、2012年に製作会社のルーカスフィルムが米ウォルト・ディズニー社に買収され、スタジオが『スター・ウォーズ』続三部作に着手したため、こちらは休眠状態になり…正式に製作が発表されたのは2016年。ここまですでに8年が経過した。
そこからも、スティーヴン・スピルバーグ監督が多忙のため延期され、脚本家と監督の交代劇を経て、いざ製作! と思いきや、新型コロナウイルスが大流行。そして今年6月に撮影が始まっても、ハリソン・フォードがリハーサル中に肩を負傷し離脱、今度は撮影現場でまさかのノロウイルスがまん延と、映画さながらのアクシデント続き。これら難局を乗り越えて、ついにこの9月、ハリソンが撮影に復帰し、本格的に撮影が再開された。
■御年79歳! ハリソンがカムバック
インディを演じるのはもちろん、「オレが死んだらインディも死ぬ。簡単なことさ」と公言しているワンアンドオンリーのハリソン。彼が現役だというに、彼以外のインディを誰が観たいと思おうか。
女性キャストには、自身がクリエイターを務めたドラマ『Fleabag フリーバッグ』(2017)で一躍ワールドワイドになったフィービー・ウォーラー=ブリッジ。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)に脚本家としても参加している秀才だ。7月には早くも、ベルボトムのパンツにジャケット、大きなバッグを肩にかけ、帽子と丸いサングラスというルックが撮影現場でキャッチされた。これまでのシリーズでは、ヒロインは主にお色気とコメディ部分を担当してきたが、新作では趣が異なりそうな予感。そして彼女は、今後インディ役を引き継ぐのではないかともささやかれている。■ヨーロッパ出身の名優が集結
新キャストには、『アナザーラウンド』(2021)のマッツ・ミケルセン、『ペイン・アンド・グローリー』(2020)のアントニオ・バンデラス、『裏切りのサーカス』(2012)などに出演の個性派トビー・ジョーンズ、ドイツ人俳優のトーマス・クレッチマンと、ヨーロッパ出身の俳優が顔をそろえる。それぞれ、詳しい役柄についてはまだ明らかになっていないものの、実力派の彼らがインディと相まみえると思うと…想像はどこまでも膨らむ。ほかに『ザ・プレデター』(2018)のボイド・ホルブルックらが出演する。
また、第1弾と第3弾でインディの頼れる友人、エジプトの発掘王サラーを演じたジョン・リス=デイヴィスや、第4弾に登場の上司ディーン・チャールズ・スタンフォース学部長役のジム・ブロードベントも復帰に意欲的だそう。前作でインディの息子マット・ウィリアムズを演じた、シャイア・ラブーフは出演しない見込みだ。
■スピルバーグに代わり監督を務めるのは
これまで4作品でメガホンを取ったスピルバーグに代わり監督を務めるのは、『フォードvsフェラーリ』(2020)や『LOGAN/ローガン』(2017)、アクションコメディ『ナイト&デイ』(2010)のジェームズ・マンゴールド。名匠からのバトンタッチに、ファンからは疑問の声が上がったが、「君たちを満足させられるか分からないけど、僕とチームは良い作品を作ってノックアウトさせるつもりだ」「もしかしたら、みんなを満足させるかもしれないよ。古き良きハリウッド映画が大好きな僕に映画作りをさせてほしい。
仕上がりを見て判断してくれよ」とツイート。これは期待が持てそうだ。
また、耳にしただけでワクワク感がよみがえるあのテーマ曲を手掛けた作曲家ジョン・ウィリアムズも続投するとのこと。
■舞台は60年代、米ソ宇宙開発競争時代?
何より気になるのはストーリー。『クリスタル・スカルの王国』から随分経ち、インディはどうしているのか。
まず撮影が開始したばかりの6月、英ノース・ヨークシャーのロケ地にて、ナチのマークを付けた機関車がキャッチされている。『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)や『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)と同様に、新作でもインディはナチ相手に死闘を繰り広げることになるのかもしれない。だが、そう決めつけるのは危険そうだ。
さかのぼること1月、マンゴールド監督が「関わっている映画の舞台なので、気分的には今60年代のニューヨークに生きている」とツイート。また7月には、英グラスゴーにて、アポロ11号の帰還を祝うパレードのシーンを撮影していたと報道されている。アポロ11号が月面着陸を成し遂げ、ニューヨークで祝賀パレードが行われたのは1969年。『クリスタル・スカルの王国』の舞台が1957年だったことを考えると、舞台は60年代で、ナチのシーンはフラッシュバックと考えるのが妥当そう。
米ソ間の宇宙開発戦争が関係するかもしれない。
■2022年夏を待つべし!
これまで幾度となく公開延期が決まっている本作だが、全米公開は2022年7月29日と発表された。ハリソンのケガや、ノロウイルスによる中断など、懸念材料はあるものの、彼の離脱中も彼の出演しないシーンの撮影を進めていたことや、公開予定日が余裕を持って設定されたことを考えると、間に合うと見られている。来年夏、今度こそ、インディの新たな冒険を観ることができそうだ。(文・寺井多恵)
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