ViViモデルの嵐莉菜が、2022年公開の映画『マイスモールランド』で映画初出演にして初主演することが決定。是枝裕和率いる映像制作者集団「分福」の新人・川和田恵真が監督を務める。



【写真】映画『マイスモールランド』シーン写真&川和田恵真監督

 本作は、29歳の新進気鋭の監督・川和田恵真によるオリジナル脚本。2014年に映像制作者集団「分福」に所属した川和田は、是枝監督作品『三度目の殺人』(2017)で監督助手、西川監督作品『すばらしき世界』(2021)でメイキングを担当するなどして研鑽(けんさん)を積み、今作で商業映画監督デビューを果たす。

 物語の主人公は、クルド人の家族とともに生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育った17歳のサーリャ。同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていたが、あるきっかけで在留資格を失い、家族の日常が一変する。埼玉には約2000人のクルド人が住む地域があり、そこに暮らす女子高生のサーリャが、日本人の少年との出会いをきっかけにアイデンティティに葛藤し、成長していく物語が描かれる。
 
 サーリャ役の嵐は、2020年よりViViの専属モデルとして活躍する17歳。母親が日本とドイツのダブル、父親が日本国籍を取得しているイラン、イラク、ロシアのミックスという5カ国のマルチルーツを持ち、幼少期には日本でキッズモデルとしても活動してきた。

 本格的な演技初挑戦にして初主演を務める嵐は、「オーディションのお話をいただいたとき、この役は絶対に私が演じたい! と思いました」と述懐。「サーリャは、国籍に悩みを持っている役柄。自分も、小学校の時は、たいしたことじゃなくてもネガティブに捉えてしまって、アイデンティティについて悩むこともありました」とし、「クルド人の高校生の女の子と実際に会いお話をする機会をいただき、同級生と同じようにLINEを交換したり、K‐POPアイドルの話でもりあがったり(笑)、不自由な想いをしているはずなのに、とても前向きで明るく生きている姿に勇気をもらいました」と語った。

 本作は企画段階で、2018年釜山国際映画祭の併設企画として行われた、映画の新企画やクリエイターを支援するイベント『ASIAN PROJECT MARKET (APM)』にてアルテ国際賞(ARTE International Prize)を受賞。撮影は今年5月18日クランクインし、 6月8日クランクアップ。
日仏共同制作となり、2022年の公開を目指してフランスで最終の仕上げ作業を行う。

 映画『マイスモールランド』は、2022年全国公開。

 キャスト・監督のコメント全文は以下の通り。<コメント全文>
■主演・嵐莉菜
オーディションのお話をいただいたとき、この役は絶対に私が演じたい!と思いました。
主演に決まったと聞いた時はとても嬉しかったです。それと同時に初めての本格的な演技に不安も感じました。私の演じたサーリャは、国籍に悩みを持っている役柄。自分も、小学校の時は、たいしたことじゃなくてもネガティブに捉えてしまって、アイデンティティについて悩むこともありました。この役を演じさせていただくことになって、クルド人の高校生の女の子と実際に会いお話をする機会をいただき、同級生と同じようにLINEを交換したり、K-POPアイドルの話でもりあがったり(笑)不自由な想いをしているはずなのに、とても前向きで明るく生きている姿に勇気をもらいました。この物語は、実はとても身近な問題なので、私が演じることで、そのことを知ってもらえたら嬉しいです。

■監督・川和田恵真
(企画について)
自分と年齢が変わらないクルド人の女性兵士が大きな銃を構える1枚の写真を見てから興味を持ち調べはじめ、日本にも2000人ものクルド人が住んでいること、難民申請をしながらも厳しい状況におかれている方々がいると知ったことが出発点になっています。自分自身もアイディンティティに悩んだ時期があり、「自分は何人なのだろう」という思いと、国を持たない世界最大の民族であるクルドの方々のことが結びつきました。
企画段階から、是枝さん、西川さん、広瀬(奈々子)さんに応援していただき、私が描く必然性がある物語で、今の世界にとっても必然性があるテーマだからと、ずっと背中を押し続けてもらいました。苦しい境遇にいながらも、希望を捨てず強く前向きに生きようとする姿をみせてくれたクルドの方々から受け取った力をこの映画で表現できているといいなと思います。

(嵐について)
とても華やかなイメージを持っていましたが、オーディションの際、彼女がアイデンティティに葛藤をもっていたことや、「自分のことを日本人と言いたいけど、言っていいのかわからない」と思っていたことを話してくれました。彼女になら、複雑なバックグラウンドをもっている、本作の主人公を任せることができるなと思いました。また、莉菜さん、本人のキャラクターと、演じた時のギャップに驚きました。堂々としていて、とても自然で素晴らしい演技をみせてくれました。サーリャのもつ複雑な気持ちを表現してくれ、オーディションの時から、この役を生きてくれていると感じました。自分の役として感じたことを言葉にして伝えてくれた莉菜さんから受け取ったことも多く、初めて同士なので、お互いに成長し合うことができました。

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