11月26日にディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が公開された。本作で主人公・ミラベルの声優を務める新人女優の斎藤瑠希は19歳にしてUS本社のオーディションを経てヒロインに抜てきされた超新星。
【写真】本当の姉妹みたい 目を合わせてはにかむ斎藤瑠希&平野綾
■「大家族に憧れ」斎藤瑠希・平野綾にとっての“家族”
――さっそくですが『ミラベルと魔法だらけの家』の中で印象的だったシーンを教えてください。
斎藤:姉であるイサベラとハグするシーンは心が「ポワッ」と暖かくなるようなすてきなシーンになったと思います。実はミラベルと同じように私にも姉がいて、もちろんケンカもします。次の日には自然といつも通りに戻っているのですが、普段なかなか口に出して「ごめんなさい」や「ありがとう」を言えていないので、ミラベルとイサベラみたいな関係が理想ですね。
平野:『ミラベルと魔法だらけの家』はミュージカル作品なのですが、中盤で出てくる『秘密のブルーノ』というナンバーが気に入っています。“おじであるブルーノの話をみんなで「しちゃいけない」と言いつついろいろ教えてくれる”というミュージカルナンバーで、ものすごい完成度だと思いました。アニメーションだけでなく、今すぐミュージカル化したいくらいです。私はこの曲が本作の中で1番好きなのですが、ラテンミュージックらしさと、耳に残る印象的なメロディが気に入っています。
――本作では「家族」の絆が描かれていますが、お2人にとって家族とはどういう存在ですか?
斎藤:家族って、ひどいぶつかり合いがあったとしても絶対に切れることのない絆で結ばれていると思うんです。自分にとってかけがえのない存在でもあり、たぶん多くの人にとって、ずっとそばで支えてきてくれた存在でもあるのかなと思いますね。
平野:うちは家族が少ないので昔から大家族に憧れがあって、にぎやかな家族の一員を演じられてうれしかったですね。子どもの頃から親がディズニー作品を見せてくれていたので、ついにこうして声優を務めることができて「夢がかなったよ」と親に伝えたい思いも。どうしても今は家族だけでなく、人とのつながり自体が絶たれてしまうような状況が続いているので、ぜひこの作品を見て“絆”を感じてくれたらと思います。
――ミラベル役、イサベラ役に決まった時の心境をそれぞれ教えてください。
斎藤:本当に光栄だなと思うのと同時に、信じられない思いもありました。電話で知ったのですが、人が大勢いる街中で思い切り「ええー!」と大きな声を出してしまいました(笑)。周りにいた方を驚かせてしまったかもしれません。そのくらい、本当にうれしかったんです。人生で1番大きな出来事でした。
平野:実はタイミングがよく、いろいろな奇跡が重なってオーディションを受けられて、さらにいろいろな奇跡が重なって収録の日程もポンと空いたことで、この作品に携われました。これはきっと運命だったんだなと感じています。
■平野綾、後輩・斎藤瑠希に感じる「安心感」
――日ごろはミュージカル作品で活躍されている斎藤さんですが、アニメーション作品に出演して歌やお芝居の表現に難しさや違いを感じた点はありますか?
斎藤:私は本当にまだ芸能のお仕事の経験が浅いのですが、映画の息遣いや細かな部分を声ひとつで表現しなくてはいけないことに、奥深さを感じました。同時に本当に大変なお仕事を皆さまがこなされているということを感じ、自分も頑張らないといけないと身が引き締まりました。周りの素晴らしいキャストの皆さま、支えてくださったスタッフの皆さまに背中を押されて、日本版のミラベルという像が出来上がったので、感謝をしています。お芝居ではいろいろな種類の息遣いを表現していて、ため息ひとつ取っても「なんの思いを込めたため息なのか」をリアルに表現できたらいいなという点を意識しながら演じさせていただきました。
――息遣いの話が出ましたが、ミラベルのアクションやため息などのシーンは独特の声の出し方になるかと思います。演じるときに工夫したことがあれば教えてください。
斎藤:そこは私にとってもがんばった点であり、お気に入りのシーンでもあります。階段を上り息が上がっているシーンでは、実際にその場で走ってから収録に入りました。「わあー!」と騒ぐシーンでは、自分でも今までにないくらい声を出したので、私自身、気持ちを発散する様子をミラベルの気持ちの発散にもつなげられたんじゃないかなと思っています。
――平野さんは経験豊富かと思いますが、ミュージカルのアニメーション作品はいかがでしたか?
平野:すごく加減が難しかったです。ミュージカル俳優としての歌、声優のキャラクターソングとしての歌なども経験しているだけに、2つの要素をどうアジャストさせるか考えました。
――経験が多いからこその苦悩ですね。
平野:はい。やはりそこで新しいカラーが出せるようにと気を付けました。映像に合わせながらレコーディングさせていただく機会はなかなかないことなので、キャラクターの細かい表情を拾いながら歌に合わせていく過程はすごくいい経験だったと思います。
――本作で声優の先輩・後輩になった斎藤さんと平野さんですが、お互いに向けての印象やお言葉をお願いします。
斎藤:コロナのこともあって最初から最後まで1人の収録だったんです。でもちょうど私がイサベラとの歌を収録するときに、今まで英語のやり取りを聴きながら日本語で吹き替えをしていたのが、平野さんのイサベラの声になっていたので感動しました。本当に心強かったです! まさに背中を押してもらっているような気持ちになりました。安定感のある歌声に私も乗せてもらいつつ、平野さんの声に安心したのを今でも覚えています。これからもよろしくお願いします、という気持ちでいます。
平野:私は斎藤さんよりひと足早くイサベラの収録があったので、ミラベルとの掛け合いのイメージを膨らませるために、レコーディングが終わっていた冒頭の『ふしぎなマドリガル家』を聴かせていただき、きっとこういう風なお芝居をするのかなと想像をしながら演じさせていただきました。斎藤さんとはひと回り以上違うのですが、とてもしっかりしていて。本当に真っ直ぐな心を持っているので、このままきっと彼女らしさを貫いていってくれるんだろうなって思っています。だから逆に安心感もありますね。いろんな経験をして、楽しめるだけ楽しんで仕事ができたらいいんじゃないかなと思います。
斎藤:平野さんの言葉に、ウルッときてしまいました。
■「成熟した俳優になれるように」今後挑戦したいこと
――最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください。
斎藤:自分が好きなことや、得意なことというのがまだまだ手探りの状態なので、やらせていただけることはすべて挑戦して、成熟した俳優になれるように頑張りたいと思っています。
平野:せっかくこうしてディズニーの作品に関わらせていただいたので、それこそミラベルと一緒に海外に行けるような機会があったらいいなと思います。これからコンサートで歌っていく機会も多いでしょうから、引き続き作品を盛り上げていけたらいいなと考えています。
落ち着いた様子で丁寧に答えてくれた平野と、緊張しながらもミラベル顔負けの明るさで思いを語ってくれた斎藤。『ミラベルと魔法だらけの家』では姉妹を演じているが、まるで本当の姉妹のような掛け合いで終始場を和ませてくれた。
映画『ミラベルと魔法だらけの家』は全国公開中。