3月末、タレントJOYの姉を脅迫した容疑で警視庁田無署に逮捕された“元アウトローのカリスマ”こと表現者の瓜田純士(32歳)が、16日間の拘留を経て、先月中旬に釈放された。釈放後は「旅人」を名乗り、全国各地を転々としていた瓜田。

一時帰京したゴールデンウィーク中に、「事件については一切触れない」という条件で日刊サイゾーの独占インタビューに応じ、逮捕時の状況、拘留中の生活、釈放後の胸中などを語った。

 インタビュー場所として瓜田が指定したのは、新宿区内の喫茶店。約束の15分前に現れた瓜田は「この度は、お騒がせしちゃってすいません」と照れくさそうに言いながら、席に着いた。サングラスをかけているとはいえ、顔面タトゥーは非常に目立つ。それまで騒がしかったまわりの客が、瓜田のことを知ってか知らずか一瞬ギョッとした表情を浮かべ、やがて見て見ぬふりをするかのように静まり返った。こんな状況下でインタビューをしたら、発言内容が周囲に丸聞こえになってしまう。

──場所、変えますか?

「いや、大丈夫です。ただし電話でも説明した通り、事件については一切触れません。これは弁護士サイドからの指示でもあるので、ご了承ください」

──瓜田さんは結局、不起訴で釈放されたんですか?

「それについても何も言えない。ご想像にお任せします。16日拘留で出てきた、という事実だけを伝えてください」

──事件後の報道にあった「酒に酔っていて覚えていない」という供述についても、深く突っ込むのはナシですか?

「常に1日10Lぐらい酒を飲んでますから、覚えてないんですよ。それ以上は何も言えない。

申し訳ないけど」

──分かりました。では本日、インタビュー場所として「新宿」を指定した理由を教えてください。

「やっぱ、『新宿といえば瓜田』というのが売りなんで。逃げも隠れもしませんよ、俺は堂々としてますよ、っていうPRも兼ねて、あえて地元の新宿を選びました」

──逮捕された当日のことは覚えてますか?

「それは覚えてます。酔って寝てたら、いきなり『ピンポンピンポン!』って来て。最初、ガスか水道料金の回収かと思ったんだけど、『ガンガンガン!』ってドアを叩いてるから、こりゃ違うなと。

時計を見たら朝の9時。俺、去年も傷害で捕まってるんですけど、そんときと一緒だな、と。刑事って役所仕事だから、だいたい平日の朝9時に来るんですよ。ドアを開けたら案の定、7~8人の刑事がいた。通称、マル暴の刑事ですね。で、逮捕状と家宅捜索令状を2つ同時に見せられた」

──瓜田さんはそのとき、どのようなリアクションを?

「『あ、どうぞ』と家に入れてから、まず『令状が見えない』と言いました。

『目が悪いから見えない』と。それから『煙草を吸わしてくれ』だの『歯が痛いから歯医者を呼べ』だのペラ回しつつ、煙草を5~6本吸って、刑事と世間話をして。心を落ち着かせてから、『車、何で来てんだ?』って聞きました」

──それはなぜですか?

「僕もそれなりに名を売ってきた男だから、やっぱり恥をかきたくない。ちなみに去年パクられたときは、電動オープンのエルグランドだったんですよ。『今日は何の車で来てんだ?』って聞いたら、『瓜田に恥をかかせたくないから、アルファードで来た』と。『じゃあ乗ってやる』と言って、田無署へ行きました」

──瓜田純士クラスともなれば、連行時の車種にもこだわると。

「こだわりますね。ちなみに多くの人が誤解しているようだけど、逮捕報道で流れた僕の映像は、家から出た瞬間じゃないですよ。あれは、田無署から地検に行くときの映像です」

──撮られていることに気付きました?

「いや、全然。遠くから望遠レンズで狙われたので、まったく気付かなかった。サツもカメラの存在を知らなかったらしく、後日『こんな大ごとになるとは思わなかった。本当にすまなかった』と謝ってきました」

──マスコミで大々的に報じられたことは、いつ知った?

「拘留中に、弁護士から聞きました。

テレビは民放5社のニュースのほか、『ミヤネ屋』『スッキリ!!』『サンデー・ジャポン』『アッコにおまかせ!』など。紙媒体は東京スポーツの1面や、『FRIDAY』などで報じられたと」

──それを聞いたときの心境は?

「やられたな、と。いろんな意味でね。あと、バンドのデビューライブや小説の出版を控えていたから、いろんな人に迷惑をかけてしまったな、終わったな、とも思いました。それと、一部報道で事実誤認もあったから頭に来た。逮捕歴12回と報じてる媒体があったけど、実際は23回目だし」

──11回足りない(笑)。

「ふざけんな、と。男前キャラに扱ってくれた報道もあったようだけど、それについては、マスコミに対してありがとうというよりも、僕がイケメンですいません、っていう心境ですね」

──留置所での16日間はいかがでしたか?

「取り調べについては事件に関わるので何も言えないけど、待遇はちょっと異常でした。ヤクザの直参でも捕まったのか、ってぐらいの扱い。アコーディオンカーテンで仕切られて、完全隔離、完全ひとり。ほかの被疑者との接触は一切ナシ。検事調べも、僕を守るようにやってくれたり」

──ロイヤルVIPな扱いですね。

「ええ、ここまでのVIP待遇は今回が初めてでした」

──食事はどうでした?

「食事はVIPじゃなかったです(笑)。一昔前の留置所なら、通称“面倒見”といって、取り調べ中に刑事からカツ丼やマックの差し入れがあったりしたのに、今回はそれがなかった。ただ、通常の食事に関して言えば、昔はコッペパンだったけど、今は食パンになっていたし、ジュースの種類も豊富になっていた。あと、留置所の変化で気付いたのは、以前は名前で呼ばれていたのに、今は拘置所と一緒で番号で呼ばれるようになっていた。だから僕は縁起のいい数字を選ばせてもらいました。22番」

──なぜ22が縁起いいんですか?

「実は報道された一件とは関係なしに、一番最後に僕が付き合っていた10代の女性タレントがいて、その子の誕生日が22日だったので、22番にしてくれとお願いしました」

──そうした主張が通ったとはいえ、留置所での暮らしはやはり、制約が多くて大変だったのでは?

「僕がパクられたのは3月27日なんですが、ちょうど4月1日からルールが変わって、煙草を1本も吸えなくなったんですよ。それが一番ショックだった。大好きな酒を飲めないことに関しては、酒を抜くいい機会かな、と。それまでは『酒に酔っていて覚えていない』毎日だったけど、中での生活は『酒に酔っていないから覚えている』んですよ(笑)」

──面会や手紙は?

「面会は問い合わせだけで110件。でも会ったのは数人だけ。あとは申し訳ないけど、お断りしました。手紙は50通から100通ぐらい来たんじゃないかな」

──手紙は読みました?

「最初は一切読む気なかったけど、検閲で開封されちゃってるし、することないから読みました。差出人の内訳は、1~2割が知り合いからで、8~9割が全国のファンや知らない人からでした。ぶっちゃけ、読んで勇気づけられる部分もかなりあったかな。ちょうど3月の頭に松本少年刑務所から出てきた人からも手紙が届いていて、その人は僕の自叙伝『ドブネズミのバラード』をすり切れるほど読んだらしく、『出所したら瓜田さんに会いたいとずっと思っていたのに、僕が出た直後に逮捕のニュースがあり、ショックを受けました。必ず無罪で戻って来てください』と書かれていたり。あとは千葉刑務所に殺人で入っている僕の先輩からも『名前が売れて良かったじゃん。本の宣伝になったじゃん。なにしろ酒に酔って覚えていないんだから仕方がないよね』と呑気かました手紙が来て(笑)。でも最後には『何があっても20日間で終わらせるつもりでいなさいよ』とあって、勇気づけられましたね」

──現実には16日間で出られたわけですが、今回逮捕されたことによって、デビューライブを控えていたバンドは空中分解してしまいましたね。

「はい。5月22日に予定されていた、川崎クラブチッタのライブが流れてしまった。ライブを楽しみにしていたバンドのメンバーや、当日一緒に出る予定だったほかのバンドの方々、そしてプロデューサーには申し訳ないという気持ちでいっぱいです。心苦しいし、もちろん反省もしています。秋に予定されていた出版が延期になってしまったことについても同様ですね。多くの人に迷惑をかけてしまい、みんなの夢を奪ってしまった。だから、これから名誉挽回するしかない。今の僕のネームバリューがあれば、絶対みんなの信用を取り戻せると思ってます」

──今年1月に出場した地下格闘技「BERSERKER」の会場で、アウトロー引退を宣言(記事参照)。その直後に警察沙汰を起こしたため、「裏切られた」という思いを抱いている人もいるかもしれません。

「BERSERKERで試合相手を務めてくれた内藤裕には、留置所を出た初日に謝って、彼からは『とにかく応援してる』というありがたい言葉をもらってます。バンドのメンバーにもちゃんと謝って、『純士さんだけの責任じゃない。心身ともに休めてください』という温かい言葉をもらってます。そういう筋は通してます」

──しかしその一方で、今回の逮捕を機に、瓜田さんに三行半を突きつけた人もいるようですね。

「容疑者として報道されただけなのに急に手のひらを返す、容疑者の僕を犯罪者のように扱い僕についてコメントする、今までさんざん僕のことを神輿かついできたくせにそれを下ろすようなマネをしてみせる。彼らがなぜそういうことをできたのかというと、僕が実刑行くと思ったからでしょう。案の定、僕が出てきた途端に、みんな何も言えなくなってしまった。あるいは、逮捕されたときに僕のことをああだこうだ書いていた人間が、出てきた途端に『心配してた』と電話してきたり。薄っぺらいし、バカバカしい。そいつらを見返すために、これから頑張ろうと思ってます」

──ファンへの謝罪は?

「ここでビッグニュースというか、楽しませちゃったらごめんなさいという予告がありまして。容疑者とはいえ世間を騒がせ、ファンの気持ちを裏切ってしまったのは事実です。だから、もしかしたら夏頃にまた、なんらかの地下格闘技興行に出て、そこでファンに対して正式に『すいませんでした』と謝るかもしれません。あと、音楽では、梅雨時にソロライブをやる予定です。日時や場所は未定ですけど、決まったらブログで告知しますんで楽しみにしていてください」

 事件についての言及は避けたが、そのほかの部分においては相変わらず“舌好調”な瓜田。後編では、釈放後の「旅」について、そして今後の展望について語ってもらおう。
(後編につづく/取材・文=岡林敬太/撮影=島田十万)