スマートフォンを使った「自撮り棒」(韓国名・セルカ棒)が若い世代を中心にブームとなっているが、韓国ではさらにスゴい。子どもから老人まで、いまや持ってない人が珍しいぐらい高い普及率を誇っている。
5月上旬、韓国にも日本と曜日の並びが似たゴールデンウィークがあり、特にハイキングや簡単なトレッキングを楽しめる山のレジャーでは行楽客であふれた。
滝や美しい景色がある見晴らし台での記念写真は、スマホをセルカ棒にセットしてパチリ。若い人はもちろん、熟年から老人にも普及しているのには驚かされた。カメラ好きな人はキヤノンの一眼レフなどを持っているが、ほとんどがスマホの内蔵カメラだ。
高速道路サービスエリアの売店も、セルカ棒だらけとなっていた。セルフタイマーで撮影するタイプは1万ウォン(約1,100円)、手元でシャッターを切れるタイプは2万ウォン(約2,200円)と、手頃な値段だ。
それにしても、韓国人は自撮りが大好きだ。
日本に留学経験のある韓国人の大学講師は「ナルシシストが多いからです」と、ズバリ指摘する。
「韓国人は自分をいかに美しく見せるかを強く意識していて、部屋やオフィスのよく見えるところに自身や、子どもたちが写った写真を額に飾っている人が多い。日本人よりも頻繁に写真館へ行き、自分のベスト角度で、美しく写真を撮ってもらうことも多いんです。特に女性は、どんなに年を取ろうとも、自分が最も美人に見える角度を知っています。2年ぐらい前に、YouTubeで『角度の重要性』という動画が話題となり、100万回の再生を記録したこともありました」
この動画は若い韓国人女性たちの自撮りで、下から見たらブスに見えるが、カメラの位置が上に移ると美人に早変わり……という内容。
日本では一過性のブームで終わりそうだが、韓国では国民的なアイテムとして、定着しそうな雰囲気だ。
(文・写真=金正太郎)