「海外で韓国人に詐欺を働くのは韓国人だけ」。韓国ネチズンたちがそう嘆く事件が起こった。

メキシコの有名なリゾート地・カンクンで5月18日(現地時間)、新婚旅行で訪れていた20組の韓国人夫婦がホテルの宿泊費をW請求される詐欺に遭ったのだ。彼らは、現地の旅行会社を利用していたのだが、その会社はホテル側に代金を支払うことなく持ち去ってしまったという。結局彼らは、クレジットカードなどで泣く泣くホテルに宿泊費を支払ったそうだ。

 被害者たちの心中は察するが、ありがちな海外トラブルともいえなくはない。ただ、その詐欺を働いた旅行会社の運営者は、メキシコ人ではなく韓国人。つまり、海外で韓国人が同胞相手に詐欺を働いたことになる。


 韓国人のイメージを国際的に傷つける事件だからか、ネチズンたちもショックを隠しきれない様子。「海外に行ったら、親切に近づいてくる韓国人には注意しなければならない。100%詐欺師だ」「“海外では韓国人だけに注意しろ”という言葉は稀代の名言だ」「寝ても覚めても韓国人に注意」などと、お得意の自虐ネタにもキレがない。

 とはいえ、海外を舞台に韓国人が韓国人を騙すという“同胞詐欺”は、何も最近になって始まったことではない。

 例えば、数年前の上海では、不動産投資をエサに7~8人の韓国人から20億ウォン(約2億円)を騙し取った韓国人夫婦の事件があった。上海では、同様の韓国人同士の詐欺事件が年間20件に上るとのデータもある。


 また、2012年7月には、アメリカ・コロラド州で50代の在米韓国人が5年の実刑を言い渡されている。男は20人余りの韓国人から総額44万ドル(約5,300万円)の資金を騙し取ったという。アメリカで詐欺事件は民事訴訟で処理されるのが一般だが、この男の場合は過去にも同じような詐欺を働いており、異例の刑事処罰を受けることになっている。さらにさかのぼれば、01年のニューヨークでも韓国人証券ブローカーに騙されて、韓国人13人が巨額の損害を被るという事件も発生した。

 それほど大事件でないが、こんな話もある。バンコクの空港で飛行機を待っていたある韓国人青年に、見知らぬ韓国人男性が話しかけてきたという。
男はパスポートや航空券を盗まれてしまったと語り「お金を貸してくれないか」と青年に持ちかけた。最初は疑いを抱いていた青年だったが、男が自分と同じ済州島出身ということで話が合い、20ドル(約2,400円)を渡した。すると男は「必ず返すから」と、青年から自宅の住所と電話番号を聞き出したそうだ。

 青年と別れた男は、すぐにその番号に電話をかけて、「あなたの息子さんがパスポートや航空券をなくして大使館にいる。すぐにお金を送ってあげてくれ」と、自分の口座番号を伝えたという。被害額は定かではないが、結局、両親はお金を送ってしまったそうだ。
典型的な振り込め詐欺だが、息子が海外にいて、同じ韓国人から電話が来るという状況では、警戒心が薄れてしまうのも無理ないかもしれない。
 
 同国人という心理を巧みに利用して、海外で詐欺を働く韓国人たち。はたして、「海外では韓国人にだけ注意しろ」という現状が改善される日は来るのだろうか? 昨今、海外旅行に出掛ける韓国人が増えているだけに、今後被害がますます拡大されそうな気はするが……。