世界各国に比べて、同性愛者への風当たりが強いことで知られる韓国。そんな現状を打開するため、来たる6月9日、ソウル市庁広場ではゲイ、レズビアンなどの同性愛者による「クィア文化祝祭(Korea Queer Festival)」が行われる。
しかし、そこは韓国。同性愛者たちによるクィア祝祭は、開幕式まで数日を残した現在も数多くの反対を受けている。
例えば、韓国教会連合、韓国キリスト教総連合会などの教会関連の団体は、1日に記者会見を開き、クィア祝祭に反対するため共同で対処すると発表。声明書には「ソウル市はクィア祝祭を即刻取り消すこと」「保健福祉部と疾病管理本部は同性愛とエイズの関連性を明かし、教育部は学校で同性愛への理解を促す教育を中断すること」「同性愛の助長によるエイズなどの社会的費用に警戒心を持つこと」「性的少数者であることを盾に、国民の感情を無視して騒ぎを起こさないこと」などと書かれた。
また、5月には市民団体「脱同性愛人権フォーラム」が、「第1回・脱同性愛人権回復の日」という行事を開催。
ソウル地方警察は、クィア祝祭が多くの反対を受けていることを知りながらも、「クィア祝祭の主催者側から合法的に集会申告が行われたため、集会を防ぐことはできない」と立場を明かしていた。しかし5月30日、クィア祝祭の目玉となるパレードに対しては、禁止通告を行っている。理由は、同時多発的にイベントが行われると交通面で不便を与える、ということだったが、クィア祝祭主催者側は「公権力が性少数者を差別している」と強く反発している。
確かに韓国社会は儒教文化が根強く、同性愛者への理解が薄いという側面もあるが、過去のクィア祝祭の“過激さ”を問題視する声もある。実際に、これまでのクィア祝祭パレードでは、ほとんど裸に近い格好で街を練り歩く参加者も目についた。韓国を代表するソウル市庁広場で、堂々と服を脱がれるのも考えものといったところだろうか。
いずれにせよ、賛同派、反対派が入り混じり、今回も物議を醸している韓国のクィア祝祭。韓国で肩身の狭い同性愛者たちにとって、一つでもプラスになるイベントとなればいいのだが……。