フジテレビ月9『好きな人がいること』は第5話。視聴率は8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、安定の1ケタです。

ちょっと前なら「月9が1ケタ!」って大事件でしたけど、もうすっかり慣れましたね。ちなみに裏のオリンピックは卓球男女3回戦でした。視聴者層はあんまりかぶってなさそう。

 前回は、憧れの千秋(三浦翔平)と花火大会に行くことになった美咲(桐谷美玲)に、ツンデレ夏向(山崎賢人)が、唐突に「行くな」と“告白”したところまででした。これ、唐突すぎて美咲は告白だと気付かなかったようですが、さんざん「物陰から美咲を見つめる夏向」のカットが挟み込まれていたので、視聴者的には「ついに言ったか」という感じ。不器用な山崎賢人きゅんにキュンキュン! と言わせたいんでしょうが、夏向が美咲を好きになった理由は一切描かれません。
「物陰から美咲を見つめる夏向」を、あれだけ見せてあげたんだから「夏向は美咲を好きってことにしといて!」という制作陣の強い意志を感じる場面です。

 今回も、夏向は美咲のほうを、ずっとチラチラ見ています。ただし、花火大会に向けて浮かれまくる美咲は、そんな夏向の気持ちには全然気づきません。こともあろうか、夏向に「明日さ、ほんとに千秋さんと花火大会いくんだね」「好きな人がいるって、こんなに楽しいんだね」とか言ってきます。美咲のことが好きすぎる夏向は「お前の浴衣姿なんて誰も見たくねえんだよ! いい年して浮かれてバカじゃねーの! さっさと出てけよ、ジャマ」と、結構な高さから突き落としたりします。で、ひとりになったら壁にもたれて溜息をついたり。
もうね、童貞かよと。ホントに、山崎賢人が美男であることに脚本も演出も頼りすぎてる。美男がツンデレしてれば勝手にキュンキュンしてくれる層だけをターゲットにしてる感がアリアリなんです。そんなことは初回からわかっちゃいたけど、いちおうホラ、公共の電波を使ってるわけですし、ねえ。

 で、今回は美咲の千秋への想いをご破算にするための回でした。夏向のボルテージを上げといて、上がりきったところで捨てられた美咲に「オレがいんだろ、オレがそばにいてやるよ」と言わせるためだけの回。


 そのために、千秋の元カノ・楓(菜々緒)に大胆なエピソードを持ってきました。「ボストン留学はウソでした~」と、一旦悪女に振り切った楓が、実は兄の借金を返すために六本木で働いていて、兄が千秋にも金を借りに行きそうになったので姿を消したそうで、全部は千秋のためであって、やっと借金を返し終わって、千秋とやり直すために湘南に来ていたんだそうです。「夏が終わったらボストンに帰る」とか言ってたことと辻褄が合わないし、2年間も兄の借金のためにクラブで働くという行動と楓のキャラクターとの辻褄も合わないし、楓の兄が美咲にこういう事情を全部しゃべる意味もわからないけれど、とりあえず「楓さんのところに行ってあげて!」と美咲が言って、千秋は美咲にも楓にも「ごめん……」しか言わなくなって、千秋と楓が泣きながら抱き合って、めでたく美咲は失恋。そこで夏向が用意していた「オレがいんだろ、オレがそばにいてやるよ」が炸裂したのでした。

 前回、思わせぶりにネタ振りされていた兄弟の出自問題は、とりあえず横に置いておいたようです。

 それにしても、菜々緒の泣き顔のシワの不自然さったらなかったですね。
仏頂面の悪女役なら美しい能面だけで演じられますが、ちょっとでも表情に感情表現が入ると、もうアレです。女優を目指すみなさんは、安易に顔をアレしないほうがよさそうですよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)