昨年大みそかに放送された『第70回NHK紅白歌合戦』第2部の平均視聴率が過去ワーストとなる37.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。第1部も34.7%と前年を3ポイント下回る結果となった。
「今回は2020年の東京五輪を意識した演出が多かったため、バックにはスポーツの名シーンが映し出され、音楽番組というよりスポーツ番組の様相となってしまっていた。加えて、昨年ほどのサプライズもなく、メドレーばかりだったのも視聴者離れにつながったと指摘されています。そんな紅白にあって、大絶賛されているのがビートたけしです。皮肉にも、真っ暗なステージにスポットライトの光を浴びるというシンプルな演出だったことで、“歌手・たけし”の世界に視聴者が引き込まれたようです」(芸能記者)
芸人・MC・映画監督のイメージが強いたけしだが、若い世代には「歌手」の顔を持つことを知らない人も多いだろう。
「たけしは80年代から90年代にかけて20枚以上のシングル曲をリリース。『俺は絶対テクニシャン』『抱いた腰がチャッチャッチャ』『哀しい気分でジョーク』『ハード・レインで愛はズブヌレ』『たかをくくろうか』など、若者が聴いてもシビれそうなバラードの名曲は多い。
また、『浅草キッド』が注目されたことで、クローズアップされているのがたけしの“幻の相方だ。
「72年にビートきよしとツービートを結成する以前に、たけしはマーキーさんという相方と『リズムフレンド』というコンビで活動していました。しかし、マーキーさんはたけしの笑いのセンスに打ちのめされて、精神を病んで自殺未遂を図る。見舞いに行ったたけしにマーキーさんが病室で言い放ったのが歌詞に出てくる『夢は捨てた』というフレーズでした。『浅草キッド』にはマーキーさんと過ごした時の思い出が散りばめられており、根底には“自分だけが売れた”という慚愧の念がある。
紅白を機に、「歌手・たけし」が再評価されそうだ。