――男が、恋人や友人ではない、風俗嬢にしか見せない姿や感情はどんなものだろうか。セックスをした「他人」だけに見せる、男たちの情けなさ、みっともなさ、滑稽さ、そして優しさをアラフォー風俗嬢がつづります。
ファッションは黒い革のパンツで、腕にはトゲトゲ痛そうなバングル、ゴツゴツのアクセサリー。パンク? ロック? よくわからないけれど、今時珍しい細身のロン毛で50歳前後のファンキーなおじさん。
物腰は柔らかいのだけど、命令口調であーしろ、こーしろと言われ、イラっとさせられる。そのくせ、こちらが風呂に入ることを要望すると拒否。ソープランド=お風呂屋さんなのに。なんのため、ベッドに併設してお風呂があるんだ。
あれやれ、これやれ、と命令系でガツガツした男は、ほんとマナーの悪い地雷客が多い。会話のキャッチボールもなく命令ばっかりで、こちらの言うことは聞かないから、私はロボットかと思うほど虚しい気持ちにさせられる。こちらの手順やペースは一切無視。
「右の乳首舐めて」「左の乳首も」「お尻の穴も舐めて」「こっちの耳も」
命令以外の言葉は一切発しない。耳も舐めろと要求するなら、事前に洗わせてほしかった。体は一通り洗っても、普通耳までは洗わない。洗ってない耳とかなんとも言えない、苦くてしょっぱくて激マズだ。
攻めていて、まったく楽しくない。
指図されながらするプレイは、まったくもってつまらない。そして終いにはゴムをはめたままご自分の手でシコっている。
ソープだけでなく、ヘルスでも意外とこういう男性はいる。
こちらの言うことなんて、まったくお構いなし。そして、なんでも言うことを聞くと思って調子をこいたのか、「そのまま俺の上に乗っかって挿入しろ」とあり得ない発言。なのに目線の先は、ラブホのテレビに映し出された自前のお気に入りAV。お気に入りの抜けるシーンを繰り返し再生したり、早送りしたり。
私はオナニーするためのお手伝いにすぎない。すんげーつまんないプレイ。そんな奴のいいなりで、ヘルスでタダマンコなんてありえないし、絶対に阻止。意地でもまんこは貸さない。女性をぞんざいにするこういう奴ほど、次の指名は100%と言っていいほど返ってこない。
地雷接客、手抜き接客をやってやりたいくらいだけど、プレイが全て命令口調だから手を抜くこともできずに、結局指示通りやらされる羽目になった。マグロ男とも違う、ただ命令をして、それに付き合わせる、つまらない男とのSEX。マグロ男の方が全然いい。別に危害はないからいいのだけどさ。いいのだけれど、風俗嬢なら何をやってもいいと思っている。
痒いところに手が届く、便利な風俗嬢ってとこか。風俗嬢を人として見ていないのだろうな。こういう人に出会うと、風俗嬢であることを、あらためて惨めな気持ちにさせられる。なのに、従順な私の様子で調子に乗った刺青男は、「この後仕事何時上がりー? 終わったら飲みに行こうよ」だってさ。
どこまでも強引で命令口調の勘違い男の鼻をへし折ってやるために、行ってもよかった。出稼ぎ先じゃなかったら。「大丈夫? 普段からいつもあんなセックスしているの? やばくね?」って、男としてのプライドをズタズタにして、しばらく勃起できないようにしてやりたかった。
風俗嬢相手ですら普通のセックスができないとか、こういう人たちはいざという時、大事な女ひとり満足させるセックスなんて、きっと一生できないんだろうなーとつくづく思う。
*曼荼羅*(まんだら)
デリヘルで風俗デビューし、現在出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちするアラフォー。子宮筋腫と腎臓の手術経験があり、現在は子宮頸がん中等度異形成持ち。売りはHカップのおっぱいだけれど、1日2万稼ぐのがやっとの売れない風俗嬢。
ブログ「続・おちぶれ続けるアラフォーでぶ女の赤字返済計画」