北朝鮮の「突撃隊」とは、国家主導の建設工事に動員され、ほぼ無給で働かされる半強制的なボランティア部隊のことだが、当局がその管理に苦心していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
両江道の青少年部門に勤務する情報筋によると、「集団生活における問題を責任を持って解決するよう求める中央の指示文が、最近、党や勤労団体、工場、企業所の幹部に通達された」という。
指示文では、突撃隊員に関する問題を大きく三つに分類している。第一に突撃隊員の交代問題、第二に彼らの家庭に関する問題、第三に社会復帰の困難さである。
中でも中心となるのが「突撃隊員を適時に交代させよ」という指示だ。隊員の約7割は20代後半から30代の既婚者で、残りの約3割は10代後半から20代前半の未婚男女だという。
北朝鮮には、「兵役未経験の独身男性は結婚前に5年間、結婚後は3年間突撃隊で働くことが求められ、女性は結婚前に3年間の突撃隊勤務を終える」という、非公式ながら社会的に定着した慣行が存在する。加えて、男性には10年間の兵役が義務付けられており、兵役前に結婚した場合はさらに突撃隊勤務が加わることになる。
両江道の幹部は、突撃隊勤務によって家庭が崩壊した具体例として、次のように述べた。
「突撃隊に出ている間に妻が別の男と関係を持ち家庭が崩壊したり、食べ物が得られず家を売って田舎の実家に帰ってしまったりと、突撃隊が原因で今年だけでも両江道で200世帯以上の家庭が崩壊している」
さらに、突撃隊に加わった本人が仕事を放棄したり、現場から逃走するなどの問題も報告されている。突撃隊の任期は通常3~5年とされているが、実際にはずるずると延長される事例も多いという。
たとえば、2017年5月に端川発電所の起工式に参加した突撃隊員らは、今日に至るまで8年以上も帰宅できずに働かされ続けている。
北朝鮮は現在、深刻な少子化に直面しているとされ、当局は離婚の手続きを厳しくするなどして「離婚抑制政策」を打ち出している。
今回の指示に対して、従業員を突撃隊に送り出している工場や企業所の幹部らは、「中央は現実をまるで分かっていない」と強い不満を示している。