北朝鮮において、放射能被曝の危険を伴う核関連施設の警備任務が、軍人の間で「特別待遇を受けられる憧れのポスト」として人気を集めていると、韓国の独立系メディア、サンドタイムズ(ST)が報じている。

STが内部情報筋の話として報じたところによれば、豊渓里核実験場、寧辺の核施設、平山や順川のウラン鉱山など、核物質を扱う施設を守る兵士には、通常の軍部隊では考えられないほどの特典が与えられるという。

第一に、兵役期間が通常の8~10年に対し、核関連部隊は5年と大幅に短縮される。さらに、除隊時には朝鮮労働党への入党が保証され、希望する大学への進学も推薦される。北朝鮮社会では軍歴が出世の登竜門とされており、入党と大学進学を同時に得られるこの任務は「特権3点セット」と呼ばれる事実上の「黄金チケット」とされている。

そのため配属を希望する兵士や家族の競争は熾烈であり、関係者への贈賄が横行している。ある情報筋は「政治委員や人事担当幹部に最低3,000ドルを渡さなければ入隊は難しい」と証言した。施設警備兵は宿舎や食事の環境が良く、訓練の負担も軽いため、一般部隊の兵士から羨望の的となっている。

また、兵役中にも「病気治療」や「保養」の名目で自宅に戻ることが可能で、その際には毎月100~200ドルを指揮官に納める必要があるという。こうした「長期外出」制度を利用して勉学に励む兵士も多く、金銭的余裕のある家庭ほど恩恵を受けやすい。

しかし実際にこれらの特典を享受できるのは、幹部層や富裕層の出身者に限られるという。一般家庭の子弟は前線や劣悪な部隊に長期間配置されることが多く、社会的不平等が軍内部でも露呈している。消息筋は「裕福な家庭の子は銃ではなく教科書を持ち、大学進学を準備する一方、庶民の子は厳しい最前線で耐えねばならない」と指摘した。

ただし、この「特権職」にも制約がある。

核施設警備兵としての経歴を持つ者は、安全保障上の理由から海外留学や派遣の道が閉ざされる。それでもなお、党入党と大学進学の保証という報酬の大きさから、多くの若者や家族が強い関心を寄せているという。

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