中国で「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念する軍事パレードをはじめとする式典が3日午前、北京市中心部の天安門広場一帯で行われ、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記を含む20カ国以上の首脳らが出席した。パレードに先立ち、習、正恩両氏は固く握手。
2002年、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領はイラン、イラク、北朝鮮を名指しし、「悪の枢軸」と呼んだ。世界平和を脅かす「悪」のグループだと非難したものだが、これら3国が「枢軸」と呼べる連携関係を構成していたわけではなく、実態から乖離しているとの批判もあった。それと比べ、現在の中露朝は、実際に「枢軸」と呼べそうな関係に近づいている。
ロシアがウクライナ戦争を進める上で、北朝鮮は継戦能力を支えているし、中国は多少の紆余曲折はあれど、両国の政治経済的な後ろ盾だ。その見返りに、ロシアは北朝鮮の核開発をけん制する国連安保理の機能を骨抜きにするばかりでなく、先端軍事技術も提供していると見られる。
北朝鮮の軍事力増強は、台湾問題を巡る中国の軍事的ポジションを相対的に有利にする。またロシアが欧州の脅威として存在している状況も、二正面作戦を嫌う米国の戦略的な計算を複雑にする点で中国を利すると言えるのではないか。
これを「悪」と見なすかどうかは相対的なものかもしれないが、自由世界に対するそれぞれの脅威を高め合う相互作用はあるように思える。
こうした関係を実現させた要因が、金正恩体制の「成長」にあることは疑いない。
今では隔世の感があるが、かつては中国もロシアも、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発を抑え込むための国連安保理の制裁決議に賛成していたのだ。金正恩体制はそうした重圧下でも、核武装に突き進んだ。
筆者は、金正恩氏を褒めたいわけではない。もはや経済制裁という何とかの一つ覚えでは、状況の悪化を止められないと訴えたいのだ。とはいえ、イスラエルがイランに対して行ったような軍事力行使は、すでに核武装した相手には現実的ではない。
ではどうするかと言ったとき、妙案はまだ見いだされてはいない。それ以前にハッキリ言って、米国も日本も韓国も、北朝鮮をどうするかという問題を考える上で、じゅうぶんなリソースを割いているとは思えない。
もちろん、ほかにも問題が山積する中で、人材にも予算にも限りがあるだろう。ウクライナと中東にエネルギーを取られているトランプ米大統領の頭脳に、北朝鮮問題を考える「空き」があるとも思えない。
だったらいっそのこと、北朝鮮問題を考える役割はAIに丸投げしてはどうか。それをする余裕のない人間たちが、「やってる感」を演出するだけで時間を浪費するよりはマシだろう。