金正恩総書記の訪中直後から、北朝鮮で党や政府機関の幹部に対する大規模な粛清が行われているという。党の組織指導部が主導した「責任幹部検閲」が、平壌帰還直後に始まり、宣伝扇動部や軍需工業部、外務省にまで処分が拡大。

多数の幹部が解任や「革命化」(強制労役)処分を受け、内部は極度に萎縮した雰囲気に包まれているという。

デイリーNKの平壌の情報筋によれば、今回の検閲で最も多くの幹部が解任されたのは党宣伝扇動部だった。問題の発端は、金正恩氏の訪中日程を収めた記録映画だった。

北京駅で中国高官の出迎え場面が簡略に編集され、また天安門広場で習近平国家主席夫妻の前に並んで待機する金正恩氏の姿がそのまま放送されたことが「最高指導者の威信を損なった」とされ、編集担当者を含む多数の幹部が直ちに職務停止や労役に送られた。

情報筋によると、金正恩氏は「猛暑の天安門広場で人民のために外交的努力を尽くしたのに、同志たちは一体何をしていたのか」と叱責し、「党の思想を一つひとつ丁寧に映し出せなかった」と怒りを示したという。

軍需工業部や軍事経済を司る第2経済委員会も処分を免れなかった。

ミサイル総局や国防科学院傘下の複数の幹部が解任または革命化され、特に軍需分野は今回の検閲の主要な標的となったという。金正恩氏が中国の閲兵式で最新兵器を確認した後、武器開発や軍事協力を加速するよう指示したが、関係部門が期限内に実効性ある計画書を提出できなかったことが大きな原因とされる。情報筋は「元帥様(金正恩氏)が身を挺して成果を挙げたのに、幹部が怠慢で行動を起こさなかった」と処罰の背景を語った。

さらに外務省でも、副局長級を含む3人の幹部が解任された。訪中時の儀典を疎かにしたことなどが問題視されたとみられる。

情報筋は「今はどの機関の幹部も息を潜めている。

検閲が全方位的に行われ、極度の緊張状態が続いている」と伝えている。

編集部おすすめ