朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の施設内で、アヘンを原料とする注射薬が公然と売られているという衝撃的な情報が出てきた。

韓国の独立系メディア・サンドタイムズ(ST)は8日付の記事で、「複数の軍部隊内の薬局でアヘンを原料とした成分不明の薬品を製造し、『01号』という注射用アンプルとして流通させている」としながら、「市価は1本1万~2万ウォン(120~300円)で、当局の黙認または関与のもとに取引されているとみられる」と報じた。

また、北朝鮮においてはアヘンが「血をさらさらにする」と信じられており、同様の行為が民間人の間でも広がっているという。

一方、北朝鮮で「アイス」「オルム(氷)」などと呼ばれる覚せい剤(メタンフェタミン)の乱用も深刻だ。

STによると、北朝鮮ではコロナ・パンデミックを経て、覚せい剤の価格が3倍以上に高騰しているという。北朝鮮内部の消息筋が明かしたところでは、コロナ以前の北朝鮮での覚せい剤価格は1グラム当たり約30ドルだったが、コロナ禍を経て100ドル前後にまで跳ね上がった。これは、密造に必要な一部原料の輸入価格が、国境封鎖や密輸摘発などの影響で上昇したことに加え、パンデミック期間中の医薬品不足により、住民が麻薬にさらに依存するようになったためとみられるという。

すでに一部で知られているように、覚せい剤は北朝鮮の日常生活の奥深くにまで浸透している。住民の間では、覚せい剤が単なる快楽物ではなく、風邪や脳血栓などの「特効薬」として流通する奇妙な現象が広がっている。密造の集積地である咸興(ハムン)では、祭日には自宅をたずねてきた客に覚せい剤を勧めることが慣習のようになっており、覚せい剤「日常化」が極めて深刻な水準であることが確認されていると、STは指摘している。

北朝鮮では、特に金正恩政権になって以降、こうした薬物の取り締まりに力を入れてきた。これは砂漠化した国土の緑化事業とともに、金正恩政権が進める施策のうち期待すべき数少ないもののひとつと言える。

しかし、成果は芳しくない。違法薬物蔓延の背景に、後進的な医療体制や当局の汚職体質があるのは明らかで、そうした本質的問題にメスが入らない限り、取り締まりに大きな進展は生まれないだろう。

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