北朝鮮が、ロシア・タタールスタン共和国にあるアラブガ特別経済区の無人機(ドローン)製造工場に、約1万人規模の女性労働者を派遣する見通しであると、米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」が17日(現地時間)に報じた。

報道によると、ウクライナ国防情報局(DIU)は、北朝鮮がアラブガに最大1万2000人の労働者を派遣する可能性があると指摘している。

アラブガ特別経済区では、これまで外国人労働者を積極的に募集する動きが続いており、最近では労働者用宿舎の大幅な増設も確認されている。このため、すでに北朝鮮が建設労働者や兵士、学生、研究者、さらには飲食業従事者までロシアに派遣してきた経緯を踏まえ、同経済区にも新たに労働者を送り込むとの観測が強まっている。

アラブガのドローン工場では、これまでもアフリカや南米の低所得国から集められた18~22歳の若年女性労働者が多数投入されてきた。こうした状況を受け、ボツワナや南アフリカ共和国など複数の国が実態調査を開始し、若い女性に対してアラブガでの就労を避けるよう警告を出している。

科学国際安全保障研究所(ISIS)は今年7月の報告書で、アラブガのドローン生産拠点に併設される労働者宿舎が急速に拡張されており、最大で4万1000人を収容できる可能性があると指摘した。ロシア企業「RPKモジュール」が製造したモジュール式コンテナ寝室の内部写真を分析した結果、現地に建設中のプレハブ型宿舎と設計が類似していると判断している。

極端に狭い居住空間や中央集約型の建物構造は、中国国内にある北朝鮮労働者向け工場宿舎の配置と酷似しているという。ISISは、すでに完成しているプレハブ宿舎だけでも最大1万3840人を収容できると推定している。

派遣される北朝鮮労働者は、中国の水産加工や電子、繊維工場で働く労働者と同様、若い女性が中心になる可能性が高いとみられる。さらに北朝鮮は、単なる労働力の提供にとどまらず、技術者や研究者も同行させ、ロシアの「ゲラン2」無人機などの製造技術を学ばせる可能性があるとの見方も出ている。

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