ロシア政府が、北朝鮮の核開発問題(いわゆる非核化)や朝鮮半島における北朝鮮と韓国の関係について、自国の立場を改めて鮮明にした。ロシア外務省は、韓国側と北朝鮮の核問題を協議しているとの報道を全面的に否定し、「ロシアには『北朝鮮の核問題』そのものが存在しない」との認識を示した。

ロシアのインタファクス通信が22日に伝えたところによると、マリヤ・ザハロワ外務省報道官は、韓国政府関係者が最近、非公開でモスクワを訪問し、ロシア側の北朝鮮核問題担当者らと協議したとする韓国メディアの報道について、「このような情報の流布には何の根拠もない」と一蹴した。

ザハロワ氏は、「ロシア側は韓国側といかなる協議も行っておらず、平壌とソウルの二国間関係に関する問題はもちろん、『北朝鮮の核問題』についても議論していない」と述べた。そのうえで、「なぜなら、ロシアにはいかなる『北朝鮮の核問題』も存在しないからだ」と強調した。

さらに同氏は、韓国外交部の代表団がロシアの学界、特にエネルギー・安全保障センターの招きでモスクワを訪問した業務出張を、「両国外交当局間の公式交渉に仕立て上げようとする稚拙な試みが露呈した」と主張した。

こうした動きの背景について、ザハロワ氏は「目的は明白だ。それは、ロシア連邦と朝鮮民主主義人民共和国との包括的戦略的パートナー関係に損害を与えようとするものだ」と指摘した。

また、ロシアの基本的立場として、①いわゆる「非核化」は新たな地政学的環境の下であらゆる意味を失っていること、②ロシアは平壌とソウルの関係においていかなる仲介も行わないこと、③朝鮮半島における長期的な平和と安定の構築を巡る議論は、北朝鮮の国家的利益と立場を全面的に考慮するものでなければならないこと、の三点を挙げた。

ロシア外務省は同日、公式サイトに掲載した声明でも、「ロシアと北朝鮮の協力に反対する勢力は、両国間の包括的戦略的パートナー関係に亀裂を入れ、両国と両国民の間に不信をあおろうとする無益な試みをやめていない」と強く非難した。

ロシアが「非核化」そのものを事実上否定し、南北関係への不介入を明言したことで、ウクライナ戦争を背景に接近を深めるロ朝関係が、朝鮮半島情勢に及ぼす影響への国際的な警戒感が一段と高まりそうだ。

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