米有力紙ワシントン・ポストは1月18日付の社説で、長年米国が外交目標として掲げてきた「北朝鮮の完全な非核化」はもはや現実的ではないとして、この目標を事実上放棄し、政策の大転換を図るべきだと主張した。社説は、北朝鮮を事実上の核保有国として認識した上で、核戦力の制限や凍結を目指す軍縮交渉に軸足を移す必要があると訴えている。

社説は、北朝鮮が核兵器と弾道ミサイルの開発を加速させ、実戦配備能力を高めている現状に触れ、「完全な非核化を前提とした交渉は長年成果を上げてこなかった」と指摘。そのうえで、「非核化という到達不能な目標に固執することは、むしろ米国と同盟国の安全を損なう」と論じた。

さらに同紙は、北朝鮮の核保有を公式に承認することは政治的に困難を伴うとしつつも、「現実を直視し、核兵器と運搬手段の数や運用を制限する実務的な軍備管理(アームズ・コントロール)交渉に踏み出すべきだ」と提言。核・ミサイル能力の拡大を抑止することこそが、当面の安全保障上の最優先課題だと強調した。

また社説は、米政府が公表した国家安全保障戦略などで北朝鮮の核問題への具体的な言及が乏しい点にも言及し、非核化目標が事実上形骸化している現状を暗に示した。

ワシントン・ポストの社説は米政府の公式見解を示すものではないが、米国内の外交・安全保障論議に大きな影響力を持つ。同盟国である日本や韓国が一貫して「北朝鮮の完全な非核化」を掲げてきただけに、同紙の主張は今後、対北朝鮮政策を巡る議論に波紋を広げる可能性がある。

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