北欧ノルウェーが導入を決めた韓国製多連装ロケット砲「K239チュンム(天武)」を巡り、弾薬の生産拠点をポーランドに設ける計画が明らかになった。英ポーランド専門メディア「Notes from Poland」によると、ノルウェー向けミサイルはポーランド国内で製造され、将来的には欧州向け供給拠点として活用される見通しだ。

完成品の輸出にとどまらず、生産基盤そのものを欧州に根付かせる韓国兵器産業の戦略が鮮明になっている。

ノルウェー政府は1月、地上配備型の長距離精密打撃システムとして、韓国・ハンファ・エアロスペース製のK239チュンム16基と、誘導ミサイル、訓練・後方支援を含む約19億クローネ(約2600億円)規模の契約を締結した。最大射程は500キロに達し、迅速な納期対応と高い費用対効果が評価され、米国製HIMARSなどを抑えて採用が決まった。

注目されるのは、弾薬の現地生産体制だ。ノルウェー向けミサイルはポーランド国内の新設工場で製造され、同工場は今後、欧州諸国向け供給拠点としても機能する。輸送距離の短縮によるコスト削減に加え、地政学リスクの分散や迅速な補給体制の構築が狙いだ。ウクライナ戦争以降、欧州では弾薬不足が深刻化しており、域内生産能力の強化は喫緊の課題となっている。

こうした動きを後押しするのが、欧州連合(EU)の「ユーロ防衛基金(EDF)」である。EDFは欧州域内での防衛技術研究や共同開発、生産基盤強化を支援する制度で、2021~27年に総額約80億ユーロを投じる。加盟国は域内生産比率の向上を重視しており、域外企業である韓国メーカーにとっては、欧州拠点の確保が市場参入の事実上の条件となる。ポーランドでの現地生産は、EDFを通じた共同事業への参加や補助金獲得を視野に入れた布石とも言える。

ポーランドはすでに同型システムを288基導入する大型契約を結び、韓国側との技術協力を通じて弾薬の国内生産に踏み切っている。

ハンファとポーランドの防衛企業WBエレクトロニクスは、精密誘導ミサイルを年間数千発規模で生産する新工場建設で合意。雇用創出と防衛産業育成を掲げ、政府も全面支援の構えだ。

この「現地化」戦略は、韓国防衛産業が欧州市場で地歩を固めるうえで最大の武器となっている。完成品輸出に比べ、技術移転や現地雇用を伴う生産は政治的支持を得やすく、長期契約にもつながる。戦車、自走砲、戦闘機などで韓国製兵器の大量導入を進めるポーランドは、すでに韓国の最重要拠点となりつつある。

欧州防衛産業は冷戦後の軍縮で量産能力が低下し、ウクライナ戦争を契機に深刻な供給不足に直面した。一方、北朝鮮の脅威を背景に大量生産体制を維持してきた韓国企業は、短納期と安定供給で優位に立つ。ポーランドを供給基地とする布陣は、欧州再軍備の波に深く組み込まれ、韓国兵器産業の影響力を長期にわたって拡大させる可能性が高い。

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