韓国政府が31日に公開した外交文書から、冷戦終結後の国際秩序変化の中で北朝鮮が強い危機感を抱いていた実態が明らかになった。とりわけ中国やロシアが韓国との関係強化に傾く中、北朝鮮が対抗措置として台湾との関係強化に言及するなど、強硬な外交姿勢を示していたことが浮き彫りとなった。

韓国メディアの報道を総合すると、31日に公開された1995年の外交文書は、当時、韓国が旧ソ連崩壊後のロシアや改革開放を進める中国との関係を急速に深化させていた様子を明らかにしている。これに対し、北朝鮮は自国の伝統的同盟関係が揺らぐことへの警戒を強めていた。

ロシアは韓国との協力拡大を背景に、1961年に締結された北朝鮮との「友好協力条約」に含まれる軍事条項について見直しの姿勢を示した。これに対し北朝鮮は、予定されていたロシア艦艇の寄港を拒否するなど、軍事面での接触を事実上停止し、不満を露わにした。それでも結局、条約は1996年に失効した。

一方、中国との関係でも緊張が走った。1992年の韓中修交後、初となる中国国家主席の訪韓が検討される中、北朝鮮は強く反発。中国側に対し、「韓国と高官交流を進めるなら、北朝鮮も台湾との関係を発展させることができる」と主張し、場合によっては台湾との外交関係樹立も検討すると示唆した。

当時、中国は北朝鮮との伝統的関係維持にも配慮しつつ韓国との協力を進めるという難しい舵取りを迫られていたが、最終的には韓国との関係強化を優先し、江沢民国家主席の訪韓が1995年11月に実現した。

一連の外交文書は、冷戦終結後に形成されつつあった新たな国際秩序の中で、韓国がロシアや中国を取り込む「北方外交」を進める一方、北朝鮮が外交的孤立を深めていく過程を生々しく示している。

もっとも、その後の世界情勢は大きく変転した。

米国を中心とする西側との対立構図が再び強まる中で、中国、ロシア、北朝鮮はいずれも対抗的な立場を共有し、安全保障や経済面で利害を重ねつつある。

かつては距離を置きつつ韓国との関係を模索した中露が、現在では対西側での連携を優先する構図へと変化している点は、当時の外交文書との対比において示唆的だ。

今回の資料公開は、朝鮮半島を取り巻く国際環境が固定的なものではなく、時代とともに大きく揺れ動いてきたことを改めて浮き彫りにしている。

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