日本株の売買で儲け続けている勝ち組の投資家のほとんどが、数多くの失敗した経験を乗り越えて今の投資手法に辿り着いている。今までなぜ負けていたのか。
高値更新株に投資してさらに高値を狙う手法で開眼!
昨年までは大きく稼いできた億トレーダーでも、今年前半の厳しい相場では苦戦したという人が少なくない。そんな中で、今年前半も1億円超の利益を叩き出しているのが個人投資家の「DUKE。」さんだ。
とは言え、「DUKE。」さんも最初からコンスタントに儲けられていたわけではない。新興市場バブルにも助けられ、2003年からの3年間で2400万円もの利益を手にしたものの、その後の3年間で儲けた分を丸々失ってしまった。2009年に「ゼロからの再スタート」を切ってからは、ファンダメンタルズを重視した投資にシフト。仕事で管理会計に長く携わっていて、ファンダメンタル分析は得意なはずだった。しかし、業績で「これは」と思う銘柄を選んでも、株価はなかなか期待どおりには上がらなかった。
「試行錯誤していたときに、著名な投資家のウィリアム・オニールが提唱する『新高値で買って、さらに高値で売る』という投資理論に出合って、目からウロコが落ちました」
新高値を更新するビッグチェンジ銘柄を探せ!1億円儲けた「ブランジスタ」のビッグチェンジは?
実際に、新高値で買った銘柄の株価が上がるのを見て、2012年の年末には、ファンダメンタル分析と新高値更新を核とするテクニカル分析を組み合わせて株価の上昇を狙っていく、独自の投資法を開始した。
「この手法で最も重要なのは、新高値更新の背景に、新製品や新サービス、新事業、M&Aなどの『ビッグチェンジ』があるかどうか。
「DUKE。」さんの今年前半の取引を振り返ってみよう。
ブランジスタ(6176)以外は社名非公表だが、上図で注目して欲しいのは約3割という決して高くない勝率と、1銘柄で1億円以上の利益を獲得している点。実は、「DUKE。」さんの投資法は「1勝4敗(勝率20%)」でも大きく勝てることが特徴のひとつだ。
ちなみに、「DUKE。」さんがブランジスタで注目した「ビッグチェンジ」とは、子会社による「神の手」というゲームのリリース予定だ。
「ゲームの総合プロデューサーが秋元康さんで、ブランジスタの役員には(出版社・幻冬舎の代表)見城徹さんがいる、これは何か起きるだろうと期待しました」
しかし、1月の購入後は全体相場の下落で損切りを余儀なくされ、400万円の損失を確定。ただ、強い思いがあったため、ボックス圏の下限で再エントリーして、最終的に1億円超の利益を稼いだのだ。
もっとも業績では説明がつかないほど株価が上昇したブランジスタは、売りどきが難しかったという。「DUKE。」さんは、過去に大きく値を上げたガンホー(3765)やミクシィ(2121)を参考に、上値や売りどきを検討した。
例えば、売りどきについては、決算期待で決算日にかけて上昇したゲーム銘柄が、決算の平均5営業日前に天井をつけることを調べて参考にした。
「幸い5月27日の引け後にゲームの詳細が発表されることがわかっていたので、その5営業日前には売り切っておくのが安全と考え、10~6営業日前にかけて毎日5分の1ずつ売っていく計画を立てました」
10営業日前の5月16日は予定通り売却できたが、その日に最高値をつけた後、株価は一転して大幅下落。そこで計画を変更して、PTS(夜間取引)なども使って、とにかく売り注文を出しまくり、無事に利益を確定することができた。
一度損切りした銘柄でも条件が合えば再挑戦!ただし、売却するルールはしっかり準備しておくこと
ブランジスタの取引から、3つのことが言えると「DUKE。」さん。
「まず、一度エントリーして損切りしても、そこで諦めないこと。いいと思う銘柄なら、条件に合致したら何度でもトライすることが大きな利益につながります」
2つ目は、売りのルールをしっかり準備しておくこと。ルールがあることで、最高値→急落といった激動の場面でも冷静に売っていくことができたからだ。そして3つ目は、自分と相性のよい銘柄なら、利益確定後も追いかけることだという。
「ブランジスタは相性がよかったので、5月、6月にも再エントリーして、合計1130万円の利益を確定。『神の手』の期待が剥げ落ちた今は、もう追いかけてはいません(笑)」
さて、新高値更新銘柄への投資で成功するには、どこに留意すればよいだろうか。まずは、株式情報サイトのスクリーニング機能などを使って、過去1~2年の新高値を更新した銘柄を毎日探すところから始めよう。
次に、その銘柄のビッグチェンジを確認。たとえば、「DUKE。」さんが過去に大きく儲けた銘柄では、約1000万円を稼いだ「妖怪ウォッチ」のハピネット(7552)、3000万円超の利益となった「インバウンド消費」銘柄のシュッピン(3179)などがある。
「中期経営計画や決算資料からビッグチェンジの芽が見つかる場合もあるので、目を通しておきましょう」
業績動向のポイントはいくつもあるが、重要なのは直近2~3四半期の業績だ。前年同期比で、経常利益が20%以上、売上高が10%以上は伸びていることが望ましいという。
買いタイミングは、新高値を更新した日の翌日の寄付が理想だが、「調べる時間も必要なので、そこで買えなければ次のブレイクで買ったり、状況にもよりますが、ボックスの下限で購入したりする方法もあります」。また、終値でボックスを割れたらすべて売却することが、売りの基本ルールになる。
保有銘柄は最大で5銘柄までに絞る試し買いをして損切りなど慎重さも重要
そして、「DUKE。」さんが何よりも強調したいのが、ポジションサイズを管理する重要性だ。
一度に投資対象とするのは、選び抜いた最大5銘柄まで。また、1銘柄分の投資資金は5分割しておき、最初のエントリーでは5分の1を「試し買い」として投入。試し買いの分が含み益になるまで追加購入はしない。
「仮にそれぞれ同じ投資金額なら、5銘柄のうち4銘柄が損切りになっても、残り1銘柄が50%のプラスであれば、トータルでは勝ちになります。ポジション管理を徹底しておけば、たとえ複数回、損失を被っても投資を続けられるのです」
「DUKE。」さんと同じ銘柄を見つけて、同じタイミングで売買するのは大変かもしれないが、「DUKE。」さんがもっとも重要だと語る「ポジションサイズを管理する方法」は誰でも真似できるはず。「DUKE。」さんの言葉を胸に刻んで、勝ち組投資家を目指そう!
(※DUKE。さんの以前の記事はこちら!⇒400万円を2億円にした40代会社員の投資法を紹介! 業績の伸びにチャートを絡めて勝率3割でも資産を「億」に到達させた株式投資の必勝法とは?)