『週刊ダイヤモンド』11月4日号の第1特集は「1万人が選んだ ホテル&エアライン」です。今、ホテル&エアライン業界が好調です。

急増するインバウンドに加えて、日本人の出張や旅行需要が堅調なことにマーケットが支えられています。一方で、参入プレイヤーが続々と増え、白熱した競争が繰り広げられてもいます。

 史上最速で伸び続けている数字がある。訪日外国人(インバウンド)の数だ。2017年の訪日外国人数は9月末時点で2119万人を突破。国は東京五輪開催の20年に4000万人、そしてその先の30年に6000万人の目標を掲げる。

 この勢いが、二つの業界に「ゲームチェンジ」を促している。

 一つがホテル業界だ。この数年で客室稼働率は軒並み上昇し、東京や大阪の都心部だけでなく、北海道や沖縄など地方のリゾートでも建設ラッシュに沸く。

 日本のホテル業界は長らく、帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニの「御三家」がリードしてきた。しかし現在、「“超”御三家」とでもいうべき新たなビッグ3が誕生している。

 旅館からリゾート、そしてシティーホテルへ参入する星野リゾート。

外資系と手を組み成長する大手デベロッパーの森トラスト。ホテルをオフィスや住宅と並ぶ第三の柱に位置付けた三井不動産。この3社は、幅広く複数タイプのホテルを全国展開し、ブランド力や豊富な経営リソースで他を凌駕。圧倒的な存在になりつつある。

 本誌は今回、利用者1万人調査を行った。ランキングからは御三家と超御三家に加え、日本を有望市場と捉え出店攻勢をかける外資系ブランドや、アパグループなど独自の手法で拡大を続ける新興チェーン、はたまたホテルに活路を見いだす鉄道会社などによる、混戦の模様が見て取れる。

 そしてホテルと同様、エアラインにも新しい波が押し寄せる。

「JAL復活」「国際線再開拓」──。4月以降、こうした文字がニュースの見出しに躍る。ランキングも示すように、日本の航空業界は日本航空(JAL)とANAホールディングス(ANA)の2強。JALが再建に取り組む間、ANAは国際線を拡大し、両社の規模は逆転した。そして今春、JALの投資制限が解除されたことにより、両社の関係は再び新局面を迎えている。

 空港も転換期にある。20年には羽田・成田の発着枠拡大というビッグイベントが待ち受ける。インバウンドの目標達成に向け、地方空港を民営化することでLCC(格安航空)を誘致しようと、各地での動きも活発化している。

 ホテルとエアライン、両業界に共通するのは、従来の延長線上では生き残れないということ。そのため、“おきて破り”も横行する大乱戦が繰り広げられている。

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