アダルトVRにハマっている男性は女性から見て「浮気」になるのか（上）

ややこしい時代になったもので、バーチャルの世界と現実は日々距離を縮めつつある。以前から「どこからか浮気か」の議論はあったが、まるでリアルかのように錯覚させるアダルトＶＲの利用は、果たして浮気に入るのか否か。

　以前、このサイトの『「アダルトＶＲ」で不倫願望が鳴りを潜めた38歳男の“どハマり』という記事で、ある男性のことを紹介した。記事のタイトルにある通りで、その男性はアダルトＶＲにハマりすぎた結果、強くくすぶっていた不倫願望を沈静化させることに成功したのであった。

“どこからが（どの一線を越えれば）浮気か”は、ちまたでよく議論される。この議論でよくセットにされて論じられるのが“アダルト動画鑑賞はＯＫか？”という命題である。女性の、男性に対する理解のあり方は幅広く、「絶対に無理」と思う女性もいる中で「嫌だけど仕方ないと思うからよし」「それくらいなら全然ＯＫ」とする女性も少なくない。

　しかしアダルト動画がＶＲとなればどうか。冒頭に紹介した男性のように、不倫願望を雲散霧消させるくらいのエネルギーを持つのがＶＲ体験なのだから、性的興奮を呼びさます度合いとしては不倫に匹敵するほどのものである……と見ることもできる。

　不倫を許せない女性は当然ながら多いが、では「アダルト動画鑑賞はＯＫ」としている女性は「ＶＲアダルト動画鑑賞」について、どのような思いで向き合うのだろうか。「ＶＲだからあくまで仮想現実、つまり非現実」としてＯＫを出すのか、あるいは「仮想現実はほぼ現実に等しい」としてＮＧを出すのか。未婚、既婚の女性の、生の感想を調査した。

　Ａさんは（27歳女性）は明るく社交的な女性で、交際3年の彼氏とは結婚秒読みの仲となっている。かつて人並み程度に性に奔放だった時期があり、男性の性に対しての理解も寛容である。

「実は彼氏がアダルトＶＲを見たことがあり、その話を聞かされたことがあります。マンガ喫茶みたいなところでＶＲゴーグルをレンタルして見たらしいんですけど、『すごかった』と興奮していて、それを聞いて『へえ、そんなにすごいんだ』という感想でした」（Ａさん）

　さすが寛容というべきか。彼氏の報告はAさんの心を乱すに至らなかったようだが、これには2人の関係からくる慣れとでもいうべきものが関係しているようであった。

「普段からお互いの性に関することはかなりオープンにしていると思うので、ＶＲの報告を聞いたのもそれの一環という感じでした。

　初めて彼の家に行った時、お風呂に男性用の大人のおもちゃが干してあって、それを見つけた時の衝撃に比べたらＶＲなんて、なんてことないです（笑）」

　ただし、ＶＲが許せるのも適切な範囲内での利用に限った話であるかもしれない。

「そうやって話を聞く分には興味深く、普通に面白いと思いますが、もし彼がＶＲにどハマりしてしまったら考え方が変わるかもしれません。ＶＲにハマりまくって私に興味がなくなってしまったり、そっち方面に浪費されまくったりしたら『ちょっと待て』ってなるでしょうね。

　現段階ではＶＲが、そういった意味で私たちの関係を脅かすものではまったくなく、普通のアダルト動画鑑賞の延長程度に捉えています」

　Ｂさん（28歳女性）はＡさんの友人だが、やや奔放だったＡさんとは対照的に、性に対しては非常に保守的な姿勢を貫いてきた。既婚者で、「夫以外の男性と関係を持つなんて想像すらしたくない」という考えの持ち主である。しかし夫と生活を共にするようになり、夫、ひいては男性の性のあり方について「自分のそれとはまったく違うものとして、少なくとも理解しなければならない」と感じるようになった。

「夫とは非常に仲がいいのですが、2人の間では性に対する欲求や認識のずれがあるので、そこがしばしば問題となって浮かび上がってきます。夫の欲求に私が応えてあげられないような時、このずれを強く感じます。

　性への意識がずれていることは2人にとって負担となるので、お互いに理解し合おうと努力している最中です」（Ｂさん）

　彼女の言葉をこうして文字にするとなかなか重たい話題に思え、「そうか…大変なんですね……」と相づちを打ちたくなるが、話している当人にそこまで重苦しい雰囲気はなく、むしろ笑顔ですらあったのでどうか安心願いたい。早い話が「しっくりこない部分もあるけどうまくやっていこうよ！」というのがＢさん夫婦の現在である。

　そんなＢさんであるから男性がアダルト動画を鑑賞することについても、「性への理解」として彼女の中で折り合いがつけられている。ではアダルトＶＲはどうか。

「普通のアダルト動画より嫌ですが、不倫に走られるよりは全然マシですし、むしろありがたいものなのかなと考えたりします」

>>（下）に続く