信頼できる上司の条件として、「話をよく聞いてくれる」点を挙げる人は多いだろう。それを受けて、上司の側としても、部下の話を聞くことに重点を置く人は少なくないはずだ。
25~39歳のビジネスパーソンを対象にした調査から浮かび上がったのは、上司側の想像とはかけ離れた“意外な上司像”だった。
調査はインテリジェンス(東京都千代田区)が、関東、関西、東海地域在住のホワイトカラー系正社員、25~39歳の男女に実施。調査日は2011年3月1日。調査方法はインターネット。有効回答数は800件。
調査では、直属の上司のマネジメントスキルを10項目に分け、それぞれ10点満点で評価してもらった。すると、最も平均点が高かったのは、「傾聴スキル(部下の報告、連絡、相談にしっかりと耳を傾けられているか)」(5.37点)。「部下の話を前向きに聞き、すぐに行動に移してくれる」(男性/26歳)などのコメントが寄せられた。
そもそも最も平均点が高い項目ですら10点満点中5.37点というのはややさみしい気もするが、それは置いておくとして、問題が発覚したのが上司から部下への「情報伝達」についてだ。部下の話を聞く傾聴スキルは最高点だったにもかかわらず、「伝達スキル(組織内に必要な情報の共有、伝達が適切に行われている)」は4.86点に留まった。
コミュニケーションの基本は聞くことと話すこと。
また、評価点でワースト1位・2位となったのは、「目標達成(目標達成に向けた、道筋や手段の提示ができているか)」(4.40点)、「タスク管理(組織のタスクを、適切な分担・スケジューリングで管理できているか)」(4.44点)。それぞれ、「問題解決への道筋を明示してほしい」(32歳/男性)、「業務配分に偏りがあり、全体を把握した上で分担してほしい」(27歳/女性)といったコメントが寄せられた。
そもそもマネジメントは、組織の目標達成のためにあることから、「目標達成」が課題となることは不自然ではないが、そのための「道筋や手段の提示」までが不十分とされてしまっている。上司側からは「少しは自分でも考えてほしい」という声が聞こえてきそうだが、部下側としては「上司の強力なリーダーシップに頼りたい」「そもそも意見をしても聞いてもらえない」などの言い分があるのだろう。
タスク管理については、部下の仕事状況をどこまで把握できているかが鍵となる問題。得点の高かった「傾聴」がただ聞くだけで終わっていて、「把握して管理に活かす」ことにつながっていない結果とも言えるだろう。
調査ではこのほか、業種・職種・企業規模別の得点も発表されている。
上司からすれば意外な結果ともいえる部下による「上司のマネジメントスキル評価」。部下のスキルに問題を感じている人も、ときには部下から“採点”を受けてみてはどうだろうか。
(プレスラボ 小川たまか)