ビジネスリサーチ・ジャパンは飲食業の「平均年収ランキング」を発表した。2018年の決算期において一番多くもらっている企業はいったいどこだろうか。
「上位クラスは700万円台。主流は400万~500万円台で、300万円台も少なくない」――18年決算期における外食企業の従業員平均年収の概要である。
有価証券報告書で平均給与を開示している企業は、およそ3700社。毎年変動はあるが、平均額が1000万円で上位100位、900万円で160位前後、800万円で350位、700万円で800位、600万円で1600位、500万円で2800位が一応の目安になる。300万円台はおよそ200社を数える。
外食企業の従業員平均年収ランキング過去3年を見ていくと…
外食企業の従業員年収ランキングを確認しよう。
1位はスシローグローバルHD、2位はコメダHD、3位はB-Rサーティワンアイスクリーム、4位は長崎ちゃんぽんのリンガーハット、5位はダイナックHDだった。
年収ランキングの特徴を見ていくと、他の業界と同じように外食業界でも持ち株会社、いわゆるホールディングス(HD)企業の平均年収が高い傾向にある。ランク上位で持ち株会社体制に移行せず、自らが店舗を運営している事業会社は、B-Rサーティワンアイスクリーム(3位)。商号に「HD」はつかないが、長崎ちゃんぽんのリンガーハット(4位)も持ち株会社である。
サントリーHDの子会社であるダイナックHDの平均年収額が急激に上昇しているのは、表にした期間中に組織変革により持ち株会社体制に移行したためだ。
従来から持ち株会社で上位にランクインしているスシローグローバルHD(1位)やコメダHD(2位)は、平均年収が下降傾向を示している。
持ち株会社の場合、平均する人数が少数であり、メンバーの入れ替えや年収の高い人の退職などの要因もあって平均額が変動することもあるのだろう。決算書に計上されている「給料手当・賞与」の総額は必ずしも減額になっているわけではない。
アイスクリームチェーンのB-Rサーティワンアイスクリームの場合、1200店舗弱の99%はFC店舗であり、そのFC店舗へのアイスクリームの販売やロイヤリティ収入が売上高の大半を占める。
コメダHDも外食企業というより製造・卸企業の側面が強い。「コメダ珈琲店」の900店舗に迫るほとんどはフランチャイズ(FC)加盟店だ。直営店比率はおよそ5%。FC店舗に対する食材、コーヒーやパンの提供で稼いでいるわけだ。
人材不足の飲食業界。全体的には年収の底上げがされているが、パートやアルバイトの人材をつなぎとめるために、今後も賃金上昇の傾向がしばらく続くはずだ。3月期決算企業は、6月末までには新しい数値が出てくるだろう。各社の推移に注目したい。