1位は前期比504万円増
年収2063万円のM&A助言会社

「それにつけても金の欲しさよ」。江戸時代、さまざまな上の句に、この下の句をつなげて狂歌を作ることが流行したという。

こういった思いは現代も同じだ。

 今回は、直近の3月期決算を反映した最新版「年収が上がった会社ランキング」を紹介してみたい。

 決算期で最も多い3月期のデータは6月末に出そろっている。直近と前期の平均年収の金額を比較して、増えた会社をランキングした。単体の従業員数が100人以上の会社が対象である。

 平均年収の増加金額トップ10を見ると、1位となったM&A助言会社のGCA(前期比504万円増の年収2063万円)など、8社の決算が増収増益だった。

 実はGCAは、2017年12月期の年収が、減益決算を受けて3割減少した(それでも1559万円)。直近は業績の回復で、2年前に近い水準に戻った格好だ。

 決算で増収増益を確保した8社をチェックすると、メーカーが半数を占めていた。3位の東京エレクトロン(電気機器)は195万円増の1272万円、4位のマニー(精密機器)は173万円増の721万円、8位の和井田製作所(機械)は140万円増の698万円、日本冶金工業(鉄鋼)は135万円増の748万円だった。

 このほか、情報・通信は2社が入った。5位の構造計画研究所(168万円増の866万円)と、6位のイーブックイニシアティブジャパン(162万円増の673万円)である。

 7位の三井不動産(150万円増の1263万円)も業績が絶好調で、純利益で最高益を更新した。

三菱ケミカルの平均年収は
執行役員が含まれる

 トップ10のうち直近決算が減益だったのは、2位の三菱ケミカルホールディングス(HD、298万円増の1738万円)と10位のコスモエネルギーHD(130万円増の891万円)の2社だけだった。

 三菱ケミカルHDの高い水準は、持ち株会社で149人しかいないエリート社員の平均年収であることが影響している。有価証券報告書(有報)の注記には「執行役員11人が含まれております」とも書かれている。この押し上げ効果も無視できないものがある。

 19年3月期決算が減益だったにも関わらず、年収が大きく増えたことについては、同社の広報担当者が二つの理由を説明した。

 一つは、同社の給与・賞与の水準が、前期の業績(純利益が2117億円で過去最高)に基づいて決まること。特に執行役員の年収は業績で大きく左右されるため、今回金額が膨らむ一因となった。

 もう一つは、データサイエンティストといったデジタル技術の専門家を増やしたこと。こういった人材は企業間で争奪戦が過熱しており、米グーグルや米フェイスブックは数千万円の年収を支払っているとされる。

財務体質が改善した
コスモエネルギーHD

 一方、コスモエネルギーHDの年収増加は、財務体質の改善が背景にあるとみられる。

 原油価格の急落などで16年3月期には502億円の純損失を計上し、自己資本比率が7.7%まで低下。

同社は危機的な状況に陥っていたが、ここ3年は業績が持ち直しており、自己資本比率も16.5%まで回復した。

 なお、今回のランキングでは、前期比で従業員数が20%以上減少した会社や、2歳以上平均年齢が上昇した会社も除外した。前期から直近にかけて、持ち株会社になったり、単体の従業員の多数をグループ会社に異動させたりした影響を、極力排除するためだ。

 こういった場合、単体は少数のエリート社員ばかりになってしまう。これでは前期比で年収が大きく上がったとしても、グループ会社間での従業員の異動による見せ掛けの増加に過ぎないというわけだ。

 次回は「年収が下がった会社ランキング」を予定している。今回の記事と併せて参考にしてほしい。

(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

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