高い利回りが期待できる高配当株だが、収益が大きく落ち込めば減配や無配転落の可能性もある。そこで特集『恐慌決算の勝ち組・負け組』(全10回)の#4では、今期の会社予想を開示していて、大幅減益でない企業をスクリーニング。
コロナ禍でも比較的業績堅調な銘柄
この4年間、株価は下がり続けているのに、高配当株として個人投資家の人気を集めてきた不思議な株がある。JT株だ。
2016年初頭に5000円近くまでいった株価は、現在2000円前後と半分以下で推移している。予想配当金を株価で割った予想配当利回りは7.57%に達する(5月19日終値)。
高配当株の代表として人気を集めてきた背景には、ため込んだ利益を元手に16期連続で増配を重ねてきたことがある。
今でも国が大株主であり、財務体質は良好。財務の安全性を示す自己資本比率は48%を誇る。
前期の売上高営業利益率も23%と高収益だ。今期の営業利益はマイナス9.2%と減益を予定しているが、今期の利益予想を出せない企業が続出する中では、健闘している部類に属する。
次のランキング表は全上場企業を対象に、予想配当利回りの高い順に並べたものである。
ただし、今期の営業利益予想がマイナス30%以上、もしくは未発表の企業は除いた。
また、予定通りの配当金を受け取ったとしても、株価が下落してしまっては元も子もない。足元の業績が好調な企業は、市場全体が大きく下げても、市場の下落率ほど下げないことが多い。
そうした観点から、今回は業績変動の激しい銀行(特に地方銀行)、証券、不動産セクターに属する企業をランキング対象から除外している。
さらに、配当性向が100%以上、つまり配当金が純利益の額を超える企業も除いた。純利益以上の配当を行えば、それまでため込んだ利益を取り崩すことになる。これは、株主にとってもゆゆしき事態である。
連続増配が16年でストップしたJTの配当性向は約90%
ランキングの1位は前述のJTである。予想配当利回りは唯一の7%台。これは株価が年初来で約15%落ち込んでいることにも起因する。
下落の理由は、新型コロナウイルスの影響だけではない。今期は配当を前期並みの1株154円に据え置いたことが大きく影響している。
表中には配当性向を表記しなかったが、JTのそれは90%に近い。
つまり、前期並みの配当を維持するだけでも、稼いだ利益のほとんどを吐き出す必要があるということだ。いくらこれまでの蓄えがあるといっても、いつまでも続けられる配当政策ではない。
JTの事業環境は厳しい。国内では喫煙者の減少が続いている。今年4月には、受動喫煙の防止を強化する「改正健康増進法」が完全施行され、喫煙人口はさらに減る見込みだ。
コロナショックも追い打ちをかける。インバウンドで増加傾向にあった免税販売にも急ブレーキがかかっている。
7%超の配当利回りから、JTの株価は現在2000円水準で下げ止まっている。だが、収益が落ち込めば減配リスクもあることから、株価は浮上のきっかけをつかめない状況にある。

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