女性の就業者数は昨年初めて3000万人を突破し、その割合が全体の44.5%を占めるなど、働く女性は増加している(2019年6月『労働力調査』総務省より)。

 こうして女性も働くことが当たり前になる中、就職活動をする女子学生たちも企業選びの際に注目するのが「女性が働きやすいかどうか」だろう。

では、「女性が働きやすい企業」として、世間から高く評価されているのはどの企業なのか。

 ブランド総合研究所の実施した『企業版SDGs調査2020』では、投資経験者、ビジネスマン、SDGs認知者、専業主婦、若年層などのステークホルダー約1万人が、日本を代表する企業210社のSDGsへの取り組み全体を評価するとともに、各社のESG活動(「環境に配慮している」「地域に貢献している」など)20項目についてもそれぞれ評価している。

 今回はその企業のESG活動への評価の中から「女性が働きやすい」という項目で高評価を受けた企業をランキング形式で紹介していこう。

※アンケートはインターネットにて実施。投資経験者、ビジネスマン、SDGs認知者、専業主婦、若年層などのステークホルダー1万500人から回答を得た。調査時期は2020年3月。対象企業210社の中から回答者にはそれぞれ10社を提示し、各社において「女性が働きやすい」などのイメージ項目から、該当するものを選んでもらった。ランキング表は、その各社ごとの割合を高い順にランキングにしたものになる。また今回、一部の企業については企業名ではなく、より消費者に親しみのある企業を代表する「ブランド名」で調査を行っている(例:ファーストリテイリングは「ユニクロ」で調査した)。

女性が働きやすい企業ランキング
1位はワコール、2位はヤクルトに

「女性が働きやすい企業ランキング」1位には、ワコールが選ばれた。同社に「女性が働きやすい企業だ」というイメージを持つ人は、全体の17.2%に上っている。

 2位はヤクルト(15.5%)、3位はイオン(13.0%)、4位は日本マクドナルド(12.3%)、5位はしまむら(11.9%)となった。

上位を見ると、消費者が手に取る機会の多い最終消費財のメーカー、普段から利用することの多い小売り・外食が数多くランクインしていることが分かる。

ワコールの女性比率は86%超!
管理職比率は意外と低く……

 今回1位になったワコールでは、2017年4月から生産性向上と従業員の働きがい向上支援を目的に、「働き方・休み方改革プロジェクト」をスタート。新型コロナウイルスが感染拡大する前から、テレワーク制度の環境整備や自己研さん目的などを含む休職制度の導入など、「働きやすさ」の視点で環境整備を進めている。

 事業の中心が女性用下着の製造でもあることから、従業員全体に占める女性比率が高いワコール。19年3月時点の女性従業員比率は86.3%に上っているが、意外にも女性管理職比率は22.6%(19年3月時点)と、従業員比率に比べるととても低いのが実情だ。

 そこで同社では、その課題に取り組むべく「女性活躍推進法に基づく行動計画」を策定。管理職(課長級以上)に占める女性割合30%に向けて、マネジメント層を対象に女性の活躍促進に関する育成支援の研修などを実施しているという。「1位になったワコールはさぞや女性管理職が多いだろう」と思いきや、実際のところ、まだ取り組みは途上のようだ。

 2位のヤクルトといえば、テレビコマーシャルでもおなじみの「ヤクルトレディ」を思い浮かべる方は少なくないだろう。同社は、月々6000円(全国平均)の保育料で小さな子どもを預けられる「ヤクルト保育所」を完備するなどして、子育て中の主婦も仕事を始められる制度を用意している。

 今回の調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、この結果を受けて「女性が働きやすい企業」として選ばれやすい企業には、主に2つの共通点があるのではないか、と分析する。

「1つは、女性が働きやすくなるような『企業活動』を行っているかどうかという点。

もう1つは、『女性が多い職場』である点だ。今回、上位に入ったヤクルトやイオンなどでは、実際に街や足を運んだ店舗で、多くの女性が生き生きと働いている様子を見る機会も多い。それが、女性が働きやすい企業という印象につながっているのではないか」

 今回のランキングで上位に入った企業は、女性が多く働いている職場が多いが、だからといって他の企業以上に「女性管理職」が多いとは限らない。現在就職活動中で、管理職などを目指す女性であれば、各企業が公表している女性管理職比率をチェックしたり、先輩社員に話を聞いたりして実態を理解するようにしよう。

(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

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