緊急事態宣言の再発令で、2020年9月の時点で首都圏の私学協会が申し合わせた事柄も、各校の判断で見直され、追試の実施や面接の中止発表が相次いでいる。埼玉に続いて、1月20日からは千葉での中学入試が始まる。
緊急事態宣言で続々と決まった追試
全国での新型コロナウイルス感染者数が7000人超えを続ける中、1月16日と17日には初めての大学入学共通テストが行われた。Googleの「COVID-19感染予測(日本版)」によれば、1月末から全国の感染者数は1万人を超えるなど、まん延が加速する見通しだ。家族内感染を避けるため、中学受験生のいる家庭では細心の注意をあと2週間ほど継続する必要がある。
埼玉での緒戦が終わり、首都圏中学受験は、20日から始まる千葉、あと10日余りに迫った東京・神奈川の入試に関心が移っている。Web申し込みが主流となり、多くの学校で入試前日まで出願が可能となったため、特に併願校となる上位・中堅校の出願状況は直前まで動く傾向が見られる。
今回は、埼玉の結果と千葉の出願状況も見ながら、東京・神奈川の志願傾向を昨年12月に実施された4つの模試の結果も踏まえ、前編・後編にわたり考えてみたい。
昨年9月、2021年入試に関して1都3県の私立中学校高等学校協会では、追試の実施やオンライン利用の入試の実施は見合わせるという申し合わせが行われていたが、緊急事態宣言の再発令もあって、各校の判断による追試の設定や面接の中止などが続々と発表されている。最新動向については、順次、TwitterやFacebookでお知らせしていくが、その影響がどのように表れるかも考えてみたい。
現段階で判明している2月10日以降に実施予定の追試日程を挙げておこう。複数回設定されている場合は最初の回のみ記した。各校によって適用基準は異なるので注意が必要だ。
2月10日神田女学園、淑徳巣鴨、自由学園女子部、自由学園男子部、東京都市大学等々力、和洋九段女子、11日聖徳学園、中村、緑ヶ丘女子、森村学園、13日郁文館、14日桐朋女子、15日武蔵野東、17日かえつ有明、共立女子、駒沢学園女子、18日桜美林、大妻中野、京華、光塩女子学院、芝浦工業大学附属、十文字、昭和女子大学附属昭和、女子聖学院、玉川聖学院、山脇学園、聖園女学院、19日実践女子学園、富士見丘、三輪田学園、清泉女学院。
2月20日は土曜日ということもあり多く設定されている。跡見学園、穎明館、共立女子第二、淑徳巣鴨、城西大学附属城西、多摩大学附属聖ヶ丘、東海大学菅生、東京家政学院、東京純心女子、東京女学館、東京電機大学、武蔵野大学、明治学院、目黒日本大学、目白研心、安田学園、横須賀学院。21日は麹町学園女子、國學院大學久我山、淑徳、聖学院、世田谷学園、東京女子学園、23日開成、24日成蹊、27日聖徳学園、28日城北、日本大学豊山。
埼玉の出願結果に見る傾向
まずは、1月10日からの数日間に多くの入試が行われた埼玉の結果を見てみたい。各校の出願者が多かった主な入試については次ページの表にまとめた。
総じていえるのは、思った以上に受験を控える傾向が少なかったことだろう。実際、10日に行われた栄東や大宮開成の受験率は前年比で0.5%減ほどにすぎない。地元の受験者が増え、お試しの他都県受験者が減ったとしても、これが新型コロナの感染リスクを懸念した上での動きを反映したものといえるのかもしれない。
とはいえ、先行事例としていくつか気になる傾向も現れている。まず、難関・上位校が敬遠される傾向だ。女子校では、1月13日の淑徳与野は前年比7%減の1640人、14日の浦和明の星女子は同6%減の1977人といずれも出願者数を減らしている。25日に第1回入試が行われる男子校の立教新座は出願を締め切ったものの、2020年の1929人には届かないものと見られる。
次に、同じ学校でも回を追うほど出願者が減っていく傾向だ。一般に後の入試日の回ほど募集人員も少なく、倍率も難度も上がる傾向にあるのだが、今年の入試ではそれが緩和傾向にあった。例えば、大宮開成は10日の1回はほぼ前年並みだったものの、12日の特待は4割弱、14日の2回は2割弱それぞれ減らしている。春日部共栄も10日1回の午前はほぼ前年並みで午後は3割上回るほどだったものが、11日以降は2~3割減となっている。こうした現象がこれから入試の始まる千葉や、出願受付真っ最中である東京・神奈川でどのように表れるのだろうか。
2020年に比べ、2桁以上の出願者増となった学校としては、男子校の城北埼玉、女子校の大妻嵐山、共学校の青山学院大学系属浦和ルーテル学院、西武台新座、武南、星野学園が挙げられる。今回、栄東が1回目の入試を10日と12日に分割したことの影響もあるかもしれない。
埼玉の公立中高一貫校でも募集が締め切られ、1月16日と17日で1次検査が行われた。いずれの学校も前年を上回ることはなく、埼玉県立伊奈学園は402人(前年410人)、さいたま市立浦和は561人(同618人)で、男子は248人(同289人)、女子313人(同329人)となった。同じく市立大宮国際も628人(同702人)で、男子は262人(同302人)、女子366人(同400人)と、男子の減少が両校とも目立った。
2021年開校の川口市立高等学校附属は581人(男子287人、女子294人)を集めている。募集人員は男女各40人なので、7倍を超える出願倍率で、初めての入試としては順当だった。
埼玉の主な入試の出願者数
