東京と神奈川の受験生は、できれば2月2日までに合格を得たいと考えていることだろう。とはいえ、受験に絶対ということはない。

3日以降の実施で、「まだ出願が間に合う」入試について、いくつかの視点から見てみよう。“安全校”を確保するために、あるいはさらにチャレンジするために、ご参考にしていただきたい。(ダイヤモンド社教育情報)



「まだ間に合う」3日以降の入試



 2月1日、東京と神奈川で入試が始まった。ほぼ2020年並みの受験率が予想され、多くの受験生がこの日、いずれかの学校を受験したことだろう。新型コロナウイルス感染回避のため、受験校の数を絞る傾向も見られる中、前回の連載でお伝えしたように、東京・神奈川での出願動向に大波乱が起きている。



 新型コロナ禍による受験生の学力不足はすでに顕在化している。渋幕などの入試問題を見る限り、出題する学校側は、新型コロナの影響により学力が十分についていないことを想定、難しい問い方を今年は避けていると思われる。選抜試験である以上、受験生の学力を配慮しなければうまく機能しないからだ。ところが、学校側の想定を下回る得点率ということで、例年になく得点が芳しくない状況にある様子がうかがえる。



 受験生はそのことを自覚しているため、“安全第一”で受験校のランクを下げる傾向も見られることについても、前回触れた。一方で、休校時の公立校の対応に不安を覚えた保護者が、私立校への進学志向を強めている。これらは、偏差値30台のGランクの出願者増でその傾向がうかがえた。



 今回は、2日午後以降でも出願可能な入試と学校について考える。

ウェブ出願が一般化したことで、入試前日あるいは当日朝まで出願が可能な学校が増えている。中には当日願書持参で受けることができる“駆け込み入試”まである。受験機会は10日を過ぎても残されているので、諦めずにご検討いただきたい。



 まずは3日に行われる入試について、午前と午後に分けて一覧にした。2020年の合格実績から、6年間で生徒の学力を伸ばしたと考えられる学校に留意しながら、一部の入試については最新の出願状況にも触れていく。



 前回は四谷大塚の偏差値により、AからGランクの入試までを見たが、そこで志望校として名前が挙がらず、偏差値がつかないHランクと呼んでいる入試についても、今回は適宜取り上げていく。そうした学校の多くは、受験生確保のため入試回数を増やし、ユニークな入試を取り入れるなどの工夫をしている。絶対評価となる適性検査型、今年いくつか出てきた英語による入試なども見ていきたい。



 3日以降の入試について、時折、学校の簡単な紹介を交えつつ、できるだけ多くご紹介していきたい。表には出願締め切り日時と2020年実績の出願者数と実倍率も掲載した。最後の合格を勝ち取るため、参考にしていただきたい。



表1 別学校が多く並ぶ3日午前の東京23区



東京・神奈川「中学入試2021」、まだ出願が間に合う学校(前編)


東京・神奈川「中学入試2021」、まだ出願が間に合う学校(前編)


3日午前入試の注目校



 まずは3日午前に実施され、出願がまだ間に合う東京23区の主な入試から見ていきたい。表1のように、男女別学校が多く並んでいる。

いずれの学校も最初の入試は2日までに実施済みだが、この段階ではAランクの学校からまんべんなく並んでいる。2020年の実倍率を見ても、全入状態のものから10倍を超えるものまで幅広い。



 いくつか難関・上位校の最新情勢を見ておこう。表1の東京23区では、豊島岡女子学園(2回)は1割弱出願者を減らしそうだが、2020年の実倍率が6.5倍もあるため、緩和感はあまり感じられないだろう。1日1回が前年比2割強増となった鷗友学園女子は、2回も同様の勢いで出願を増やしている。全般的に前年より出願者が増加、回を追うほど勢いを増している大妻の3回は3割ほど出願が増えそうだ。一方、東京女学館(一般学級4回)は3割弱減らしそうな勢いで狙い目、富士見(3回)は2割弱伸びそうだ。男子校では学習院(一般2回)がほぼ前年並みの見込みで、成城(2回)は1割強減らしそうだ。



 次ページの表2では、今年は全般的に好調な晃華学園が、1日の1回が前年より1割以上増やし、3回は3割増の勢いである。男子校では、逗子開成(2次)が1割以上伸ばす勢いである。1月実施の一般1回が前年より1割減だった立教新座の一般2回は5倍超の前年実倍率を敬遠されてか激減しそうな様相で、大穴となりそうだ。



 共学校では、法政大学(2回)は1割以上出願者が増加しそうで、男女計400人超えは間違いない。

明治大学付属中野八王子(A方式2回)では男子が大きく増加傾向なのに対して女子はほぼ前年並みとなりそうだ。公文国際学園(B)は男子が1割減らした1日のAに続き軟調なのに対して、女子は2割以上増加の勢いと分かれている。1日の1回が絶好調の桐蔭学園(3回)は女子が減少気味だが、男子は大きく伸ばしそうだ。専修大学松戸(3回)は前年並みを確保できるか注目される。



 GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)への2020年合格実績を元に、6年間で学力を大きく伸ばした学校を調べたところ、表1の男子では足立学園京華東京成徳大学日本大学豊山、佼成学園、女子では佼成学園女子、次ページの表2の男子では聖徳学園多摩大学附属聖ヶ丘、女子では白梅学園清修、武蔵野大学の名前が挙がった。後にも触れるが、こうした「入りやすくてお得な学校」が3日以降の入試にもまだある点を留意しておきたい。



 後編では、3日午後以降の入試について見ていきたい。



表2 3日午前の東京多摩・神奈川・埼玉・千葉



東京・神奈川「中学入試2021」、まだ出願が間に合う学校(前編)


>>後編に続く



【訂正】記事初出時より、以下の点を訂正いたしました。
2ページ目 表1「富士見(3回)」3日 8:10→2日 23:00
(2021年2月2日13:30 ダイヤモンド社教育情報)

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