総務省も2018年度から「関係人口創出事業」を実施するなど取り組みを強化しており、特に人口減少・高齢化が進む地方で地域づくりの“担い手”として期待が寄せられているのが、居住人口と交流人口の“中間”に位置する関係人口というわけだ。
では将来、移住や訪問、地域貢献につながる可能性がある“第二の住民”ともいえる関係人口が多いのは、どの都道府県なのか。それを初めて明らかにしたのが、毎年「都道府県魅力度ランキング」を発表することでも知られるブランド総合研究所が行った『第1回 関係人口の意識調査2021』だ。
この調査では、定義をより分かりやすくするために、関係人口を「出身者(現在居住している人を除く)」と各都道府県を応援したいと回答した「応援者(いま住んでいる都道府県と出身地を除く)」の合計としている。また、その結果をもとに居住者との比率から都道府県別の関係人口数を推定した。
では早速、調査結果から導き出された、「推定関係人口」が多い都道府県をランキング形式で紹介しよう。
※調査を行ったのはブランド総合研究所。アンケートはインターネットにて実施。2万508人から回答を得た(不完全回答を除いた)。調査期間は2021年2月17日~23日。アンケートでは対象者に対し、「今住んでいる都道府県」「出身地(居住地以外であれば)」「それ以外に応援したいと思う都道府県(出身地、居住地以外ひとつだけ)」を尋ね、「出身地」と「応援したい都道府県」の合計数を出し、居住者との比率から、推定関係人口を算出した。
1位は1229万人の福島県に!都道府県「推定関係人口」ランキング発表
「都道府県『推定関係人口』ランキング2021」の1位は、福島県(1229万2000人)となった。
なんと人口の6.8倍に
今回の結果で推定関係人口が最も多い1位に選ばれた福島県。なんと推定関係人口は、現在の人口(約182万人)の6.8倍にあたる。2位の沖縄県についても、推定関係人口は現在の人口(約146万人)の6.5倍にも上った。
同調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、この2県の特徴について以下のように語る。
「今回の調査で関係人口を構成する『出身者』と『応援者』の割合を比較すると、2県ともに応援者のほうが多かった。出身者以外でこれらの県とつながりのあった人にとって、2県には応援したいと思わせる魅力があるようだ」
では具体的に応援者は、「応援したい」と選んだ都道府県とどのような関係性があるのか。実際に同調査では、各都道府県の応援者に対して、「応援したい都道府県とは、どのような関係がありますか(複数回答可)」と尋ねている。
その結果、調査全体では、最も多いのが「家族や親戚がいる」(22.7%)で、「過去に住んでいた」(15.9%)、「知人や友人がいる」(14.6%)と答える人もいるなど、やはり人と人とのつながりやコミュニティーが関係人口にはとても重要であることが見えてくる。また「観光で何度か訪れた」(16.0%)は、「家族や親戚がいる」に次ぐ2番目に多い回答だった
「実は、『一度だけ観光で訪れた』と答えた人は4.6%と少数だった。やはり何度も訪れることにより、応援したい気持ちが高まり、関係人口となることにつながるようだ」(田中社長)
一方で、1位になった福島県の応援者に尋ねた、応援したい方法については、他県と比較して「ボランティア活動」や「寄付」「産品購入」といった項目を選ぶ人が多かったという。
先日、東日本大震災の発生から10年を迎え、原発事故も含めた多大な被害が風化しつつあるように多くの人が感じているかもしれない。
(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)