日本におけるSDGsという言葉の認知度は年々高まっており、多くの人々が身近な問題として認識している。
そこでブランド総研研究所は、2022年7月、各社の活動が一般消費者にどのくらい認知・理解され、評価されているのかを数値化する『第3回企業版SDGs調査2022』を実施。日本の有力企業260社を対象として、業界別に売り上げ規模の大きな企業と、SDGsやESGに積極的に取り組んでいる企業を中心に、同研究所が独自に選出した。
「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を組み合わせた言葉である。気候変動や人権問題などが起きる社会の中で、企業は環境・社会・ガバナンス(企業の管理体制・内部統制)の3つの視点で取り組みを行うべきという考え方だ。
今回は、その『第3回企業版SDGs調査2022』を基に、「SDGsの取り組みの評価が高い企業ランキング」(※1)を紹介する。
トヨタ自動車が3年連続1位他社を寄せ付けない圧倒的強さ
SDGsの取り組みが最も評価されている企業は、3年連続でトヨタ自動車が1位(27.7点)を獲得した。同社はSDGsに「本格的に取り組んでいる」という回答が18.3%と多く、2位以下より5ポイント以上の差をつけている。また「全く取り組んでいない」「あまり取り組んでいない」との否定的な回答が6.0%と少なかった。
2位にはイオンが22.1点でランクイン、前年の5位から上昇した。前年2位だったユニクロは21.7点で3位となった。
真に評価される企業の取り組みとは
今回の調査において、「SDGsに本格的に取り組んでいる」と回答者が評価したのは、260社平均ではわずか6.7%に過ぎなかった。
「SDGs自体への認知度が広がっている中で、企業のSDGs活動についての認知や活動への評価は、それほど進んでいないようだ」
その理由としては、「企業が『SDGsに取り組んでいる』と発信している内容が、これまでの企業活動を無理矢理SDGsのゴールに結びつけているような、 “うわべだけの活動”になっているケースが少なくないからではないか」と田中社長は分析する。
積極的な取り組みをせず、表面的に自社がSDGsに取り組んでいるように見せかけることを「SDGsウォッシュ」というが、こうした姿勢は評価されないばかりでなく、えてして企業におけるイメージダウンにもつながってしまう。
とはいえ、前年度も調査対象であった210社のうち、約75%にあたる157社は、前年よりSDGs評価の点数が上昇しており、企業のSDGsへの取り組みは着実に進んでいることがわかる。
環境、社会、ガバナンスなど、組織による持続可能性で企業価値を生み出すという理念に加えて、今後は地球環境や社会全体の持続性につながる視点が、より消費者の共感を得られるようになっていくだろう。
(フリーライター 西嶋治美)