『週刊ダイヤモンド』6月24日号の第1特集は「決算書 楽ちん理解」です。100社以上の実例が登場し、大きく楽しい図版が満載です。
ROE、PBR、資本コスト
世の中に「サッカーのルールを知らないプロサッカー選手」は存在しないはずだ。
それと同じように、決算書を理解しないまま仕事をしたり、投資に臨んだりすると、出世もできないし、投資でも失敗してしまうだろう。
なにしろ、上図から分かるように、会社側は高い職位には高い決算書の知識を求めている。「財務が分かりません」では、課長や部長になれないのである。
さらに昨今、国や証券取引所が企業に達成を迫り、株価や相場の流れを激変させる指標が続々登場している。
その手の指標のうち数年前までは、事業の効率性を測る自己資本利益率(ROE)を覚えておけば、ビジネスパーソンとしては格好がついた。
ところが、今や株価純資産倍率(PBR)という指標は毎日のように経済ニュースに登場し、相場の流れすら変えている。
東京証券取引所が低PBR企業に対して改善策を促したり、外国人投資家がプレッシャーをかけていたりすることから、自社株買いや増配等の株主還元策を講じる企業が続出。昨今の日経平均株価の高騰の要因ともいわれているのだ。
さらに、今後、押さえておきたい注目キーワードは、ずばり「資本コスト」だ。
どの指標の理解にも決算書読解術が前提
資本コストとは、銀行から借りたお金に対する利息の支払いや株主に対する配当の支払い、あるいは、株主からの「株価を上昇させよ」という期待に応えるためのコストのことだ。
金融庁と東京証券取引所が策定に関わり、企業統治のガイドラインとして全上場企業に適用される「コーポレートガバナンス・コード」というものがある。そのコードが改定されるたびに、「企業はもっと資本コストを意識せよ」という調子を強めている。つまり、「企業は単純に利益をあげればいいわけではない。せめてお金の出し手が期待するリターンを上回ろうね」と言いたいわけだ。
昨今、企業が迫られているPBR改善のように、今後は資本コストのコントロールと、資本コストを上回る利益を迫られる企業が増えるだろう。となれば、ビジネス面でも株式投資の面でも大きな影響を与えそうだ。今のうちに、概要だけでも知っておいた方がいい。
そしてROE、PBR、資本コストといった重要指標理解の前提となるのが、決算書に含まれる財務3表の読解術だ。
そう聞くと「え!?そんなあ、決算書の基本すら理解していないのに……」と、不安になるかもしれない。
しかし、安心してほしい。実は、決算書の理解は非常に易しいのだ。
まず、簿記の用語や難しい数式の暗記は一切不要だ。決算書の基本である損益計算書(PL)なら五つの利益、貸借対照表(BS)なら五つの箱など、最低限の項目の理解で十分。ROEやPBRも「ざっくりこういうことだ」と大枠を押さえれば、困ることはない。
少しでも読み解けるようになると、「決算書は無味乾燥な書類ではなく、企業の汗と涙のドラマの集合体」だと気付くはずだ。

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