コロナ禍を脱し、日経平均株価が過去最高値を記録するなど経済が大きく変わろうとしている。そんな中、主要企業はどの大学から学生を採用したのか。
採用縮小・中止の影響が表れた
鉄道や航空などの運輸業界は、新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受け、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)では採用中止や採用人数の大幅減に追い込まれた。
だが、コロナ禍が収束に向かい、インバウンド需要が大幅に伸びたことで、23年度決算で売上高は増加。ANAでは国際旅客の収入が過去最高となり、国内旅客の収入を初めて上回った。また、JALでは旅客数が前年比約1.5倍になった。運輸業界がコロナ禍の影響から立ち直って再び成長軌道に乗り、採用活動も積極的になっているようだ。
22年の2大航空会社の採用大学ランキングを見ると、採用縮小・中止の影響があり、ANAでは採用大学が東海大学、慶應義塾大学、法政大学の3校しかなかった。逆に言えば、この3校はANAに対して根強い就職力があることがうかがえた。
また、JALでは1位が慶應義塾大学、2位が早稲田大学で早慶が強さを見せた。
果たして、23年のランキングに変化はあったのだろうか。
ランキング上位の大学では人材を育てるシステムを構築
23年のランキングでは、ANAの1位は慶應義塾大学、2位が東海大学、3位が東京大学、日本大学、早稲田大学が並んだ。
東海大学については、プロパイロットになる近道として、06年4月に国内初の航空機操縦士養成コース「航空操縦学専攻」を開設。日本大学では、19年度からANAビジネスソリューションが運営するANAエアラインスクールと教育連携校協定を締結している。
JALでは、1位に慶應義塾大学と早稲田大学が並び、3位は立教大学だった。立教大学では、毎年夏休みに経済学部で「JALサマーワークショップ」というプログラムが開催されている。
こうしたエアライン業界で働きたい学生を支援する体制が整っていることが、ランキング上位に来ている要因とみられる。
航空業界が定期的に採用する人材は、顧客対応をするキャビンアテンダント(CA)や機体整備関係の技術者が多い。特に機体整備は専門領域の仕事であり、基本的に技術者を自社で育てなければならないため、常に人手不足感がある。
一方で、今後は国際線の開拓が航空会社の成長基盤になるため、語学力も含めて国際的に活躍できる人材のニーズがより高まるだろう。
*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。