物価上昇や円安の影響が続く中でも、国内旅行への関心は高い。近年は、「日数は限られていても満足度の高い旅」「テーマを決めて1つの街を歩く旅」など、旅行の楽しみ方そのものが多様化し、人気の市区町村にも変化が生まれている。
今回紹介する「市区町村『観光意欲度』ランキング」のベースとなるのは、全国1000の市区町村及び47都道府県の計1047地域を調査対象に、全国の消費者3万3449人の有効回答を得て集計した「地域ブランド調査2025」(※)だ。
対象は792市すべてと東京特別区(23区)、そして743町と183村の中から認知度が高い185町村。各地域に対して、認知度や魅力度、イメージなど全90項目からなる調査を行い、今年で実施は20回目(都道府県の設問は17回目)となる。
その中で「観光意欲度」は、「今後、観光や旅行などで以下の市区町村に行きたいと思いますか?」という問いに対して、「ぜひ行ってみたい」を100点、「機会があれば行ってみたい」を50点、「どちらもいえない」「あまり行きたいとは思わない」を0点として、加重平均した数値を算出した。
(※)調査を行ったのはブランド総合研究所。インターネット調査であり、調査期間は、2025年6月24日~7月9日。
今年、1位になった市区町村はどこか。ランキング上位を見ていこう。
3都市が上位を独占した都道府県は?
観光資源が豊富なだけではない
2025年の「観光で行きたい市区町村ランキング」は、1位札幌市(54.7点)、2位函館市(52.8点)、3位小樽市(50.5点)となり、今年も北海道の3都市が上位を占めた。
北海道の主要都市が揃って支持される背景には、観光資源の豊富さだけでなく、街としての受け入れ体制が評価されていることにある。
札幌市はジンギスカンやラーメン、白い恋人など、北海道の名物が揃う街としての存在感が強く、函館市は夜景や朝市、海鮮のイメージが定着している。小樽市は運河沿いの街並みや、スイーツのブランド力も高い。
首都圏近郊エリアがトップ10入り
短い滞在でも満足できる
今年のランキングで目を引くのが、鎌倉市・箱根町・軽井沢町の首都圏近郊エリアが、揃ってトップ10入りしたことだ。
田中社長は、「いずれの地域も、短い滞在でも満足度を得やすい環境が整っている」と分析する。
旅行スタイルが多様化し、長期滞在だけでなく短い休暇旅、テーマを決めた旅、自然だけを求める旅など、「この地域なら何を楽しめるか」が明確な地域ほど、訪れる候補に入りやすくなる。
これから旅行計画を立てる人にとっても、それぞれの市区町村が持つ魅力の違いが、目的地を選ぶうえで重要な判断材料となるだろう。
(フリーライター 西嶋治美)

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