都労委は4月16日、ファミリーマートに対して、加盟店のオーナーらによって結成された労働組合との団体交渉を拒否したことについて「不当労働行為」と認定し、団交に応じるよう命令した。
今回、都労委に救済を申し立てたのは、2012年に結成されたファミリーマート加盟店ユニオンで、現在17人のオーナーが参加している。ファミマとFC契約を結んだオーナーは、営業を続けるために通常、10年ごとに再契約を結ぶ必要がある。ただ、この再契約の基準は「本部の自由な判断による」とされていた。
そこで、ユニオンは12年9月と10月の2回にわたり、オーナー側が再契約を希望したときの本部の判断基準を明確にするよう、ファミマに対して団交を申し入れた。しかし、ファミマは「オーナーは独立した事業者」であるため、あくまでオーナー個人と個別に話し合いの場を設けるなどとして、団交に応じることを拒んでいた。
FCビジネスに波及?都労委はこれまでの最高裁判所の判例に基づき、▽業務に不可欠な労働力として組織に組み入れられているか▽契約内容が一方的に決定されているか▽会社の指揮監督下にあるか──など6項目についてオーナーの労働実態を検証。その上で「オーナーは会社の指示に応じざるを得ず、自らの経営判断で業務の差配や収益管理を行う機会が確保されているとは認め難い」と判断し、ファミマに団交に応じるよう命令した。
今回の命令について原告代理人の宮里邦雄弁護士は、「労働組合法が施行された1946年当時と比べ、雇用関係が多様化している。FC契約上で事業者という位置付けのオーナーは、本部と対等な関係とは言い難く、類似のFCビジネスに波及する可能性がある」と指摘する。
運営システムや商品・サービスを加盟店に提供する代わりに、本部が収益の一部をロイヤルティとして受領するFC方式は、コンビニ業界だけでなく、外食や介護でも広く浸透したビジネスモデルである。
加盟店オーナーの地位向上を後押しする今回の都労委の命令について、ある大手FCチェーンの幹部は「FCのビジネスモデルそのものの否定につながりかねず、人ごとではない」と警戒感をあらわにする。
日本FCチェーン協会によると、国内のFCビジネスの規模は約23兆円、総店舗数も5年連続で増加し、約25万店(14年3月時点)の巨大産業に膨れ上がっている。FCビジネスの理想は本部と加盟店の“共存共栄”。オーナーの不満を払拭する、本部の在り方が求められている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)