AI建物管理クラウドのTHIRD、累計資金調達額30億円突破

26億円の資金調達実施、建物管理の仕事を情報集約型ビジネスへAI建物管理クラウドシステムを提供するテックベンチャー、株式会社THIRD（以下、THIRD）は8月31日、ジャフコグループ株式会社をリード投資家とするシリーズBラウンドで、総額26億円の資金調達を実施することに成功したと発表した。今回の増資により、THIRDの累計調達額は30.7億円になっている。THIRDによると、今回の資金調達では、既存投資家である株式会社デジタルガレージの投資事業を担うグループ会社（株式会社DG Daiwa Ventures、株式会社DGインキュベーション他）、東急不動産ホールディングス株式会社が出資するCVCファンド（GP：SBIインベストメント株式会社）に加え、新たにSBIインベストメント株式会社、Spiral Capital株式会社の2社を引受先にしているという。THIRDが主力事業とするのは、建物管理クラウドシステム「管理ロイド」の開発・提供だ。「管理ロイド」は、AIを活用した不動産管理業務の業務効率化を図るSaaS型ソフトウェアで、建物管理にかかる計画作成から検針・点検・清掃・警備といった実務の効率化、履行管理、不具合報告、報告書の自動作成機能などを搭載している。これまで紙媒体でのやりとりや電話・FAXが主に使用され、人力頼み、アナログ型で運用されてきた建物管理業務のオペレーションを改善し、工数削減による効率化はもちろん、ミスの削減などにも寄与してきた。2019年の製品版リリース以降、すでに1,500社以上の導入実績を重ねている。豊富な機能を搭載するシステムだが、とくに導入企業からは、「既存フォーマットに対応した帳票自動作成」と「AIによるメーター読み取り自動化」の機能が好評だという。不動産管理業務においては、点検帳票、検針票、清掃報告書、不具合報告書、工事完了報告書など、さまざまな業務に応じ、対応した報告書を作成せねばならず、かつその仕様は不動産オーナーやアセットマネジメント会社、プロパティマネジメント会社の指定帳票とされることが多いなど、システムによる標準化が困難で、そのためにDX推進も行えないケースが多かった。「管理ロイド」は、これら各帳票をAIで解析することにより、既存の各社フォーマットに倣った報告書の自動生成を実現している。また「AIによるメーター読み取り自動化」機能では、独自開発のAI技術（特許取得済み）で、数値を高精度に取り込み、検針業務をサポート、ごく少ないメーター写真データからでも膨大な機械学習用データを自動生成し、学習する技術を搭載しているため、あらゆるメーカーのメーターに対応、海外製製品であっても短期間の自動読み取り機能の実装が可能となっている。これまで、ひとつひとつ人の手で数値を確認し、手書きで記録を残していた業務が、スマホのカメラをかざすだけで報告書の自動生成までワンストップで実行できるなど、大幅な効率化が図られる特長を有しているといえる。今後は「工事ロイド」とつながるPF構築やテナント向け・オーナー向け機能の提供もTHIRDでは、今回の資金調達をもって「管理ロイド」の開発力強化を目的としたAI技術へのさらなる投資、導入支援人員の拡充を図る。また、現在ベータ版として提供している、AI工事見積査定機能の強化や工事会社マッチング機能の提供を開始し、工事発注マーケットプレイス「工事ロイド」の本格運用をスタートさせる方針としている。さらに、入居テナント向け機能や、物件オーナー向け機能の提供も行い、独自の建物統合データプラットフォームを構築していくことを目指す。不動産管理業界は、人々の暮らしに欠かせないインフラの基礎、安心安全を支える業界のひとつだ。しかし不動産ストック・インフラの維持管理コストは年々増加、社会資本の維持管理・更新費として、今後50年間では約30兆円の不足になるとの予測もあるという。技術者の高齢化などによる人手不足も深刻で、現在の不動産管理ビジネスモデルを改善し、データを活かした情報集約型のビジネスモデルに移行させるべき転換点に来ている。THIRDはこの業界動向を強力に後押しし、建物管理の体制をデジタル化・効率化し、コストを最適化しながら高い水準で維持管理することを可能にしていきたいとする。デジタル途上の産業領域における課題解決、DX進展に寄与することが期待されるだろう。（画像はプレスリリースより）元の記事を読む

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