能登半島地震をきっかけに取り組みを加速
防災テックスタートアップの株式会社Spectee(以下、Spectee)は16日、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下、パナソニック)とともに、各住宅の電気設備などのデータをもとにした避難状況のリアルタイム把握に関する実証実験を共同で実施したと発表した。

2023年11月から2024年3月までの期間で行っており、この実証実験で得られた成果を活かし、今後はスマートメーターや家電製品などの「家データ」から、非常時の地域住民における避難状況や在・不在の把握・確認などを迅速に行えるものとするシステムを開発、普及させていくための取り組みを推進するとしている。


年初に発生した能登半島地震では、倒壊家屋に住民が残っているか否かを的確に把握する術がなく、救出作業や安否確認に時間を要するといった事態があった。

地震や気象災害などの発生時には、直後から適切な対応を行っていくため、リアルタイムに地域住民の状況を的確に把握できる仕組みが求められる。実際、多くの自治体で現在、そうした情報収集をいかに効率的に、効果的に、素早く行えるようにするか、最善の手段を模索している状況にあるとされる。

今回の実証実験は、こうした災害発生時の住民の在宅状況など、リアルタイムでの情報収集・可視化を叶え、現況にある課題を解決すべく、計画・実施された。

AI判定で一定以上の精度を確認、さらなる精度向上を目指す
Specteeとパナソニックでは、対象地域における住宅の電力使用量データを取得し、そのデータをもとにAIで解析を実施、住民が在宅か不在化を判定してリアルタイムに情報として出力していく仕組みを構築した。

そして、この仕組みによって得られたデータと、実際の住民在宅状況記録とを照らし合わせ、精度の検証を行ったという。


その結果、電力使用量ベースでの在・不在にかかるAI判定は、一定の精度で正しさを確保できることが判明した。完璧ではないが、予測精度としてはかなり高い結果を導き出せている。

Specteeとパナソニックはこの結果を受け、これからはさらに電力使用量だけでなく、家電やIoTなどの「家データ」もあわせて活用していくことにより、さらに精度の高いシステムを構築できるものとみている。

Specteeでは、全国的に進められるスマートシティ構想の実現に向けた住宅や街全体のスマート化に資する技術とシステムと考えており、この「家データ」を活かす防災対応は未来のスマートシティにおいて大きな可能性をもっていると強調する。

よって今回の実証実験にとどまらず、今後もさまざまなかたちで検証を重ねていきたいとした。

Specteeは、「危機を可視化する」ことをミッションに、SNSや気象データ、カーナビ情報、道路沿いカメラなど、多様な媒体から得られるデータをもとに災害やリスク情報の解析、被害状況の可視化や予測を進めるスタートアップ企業。


AIリアルタイム防災・危機管理サービスの「Spectee Pro」は、各地で発生する災害や危機を、多角的なデータから迅速に把握、必要情報を収集し可視化や、今後の予測を行うことができるもので、災害対応や危機管理、物流・サプライチェーンのリスク管理などに活かされている。

昨年11月には、製造業向けのサプライチェーン・リスク管理サービス「Spectee Supply Chain Resilience」もリリースした。

今回の実証実験は、パナソニックが実施する2023年度のアクセラレータープログラムによるもので、同プログラムは、優れた先進技術やノウハウを有するスタートアップと共創、新規事業を加速させる取り組みとして知られる。

Specteeは、2023年度において、80社以上のスタートアップの中から、11社のプログラム採択企業として選ばれていた。

(画像はプレスリリースより)

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