免許不要、地域の交通空白解消へ
電動キックボードのシェアリングサービスなどを展開するスタートアップ、株式会社Luup(以下、Luup)は5日、企業ミッションとして掲げる「街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる」ことを実現するため、年齢や性別などを問わず、多くの人々が利用可能なものとなることを目指した三輪・小型のユニバーサルカーである「Unimo(ユニモ)」のコンセプトモデルを発表した。

車両は株式会社アイシン(以下、アイシン)と共同開発を行ったもので、株式会社GKダイナミックスの協力を得て完成させたという。
2026年度中をめどに複数地域で実証実験を行っていく方針で、まずは8月25日~31日の期間、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の未来社会ショーケース事業における「スマートモビリティ万博」の「ロボットエクスペリエンス」に参画するとされた。

国土交通省によると、公共交通網が行き届かないために地域の足に課題を抱える、いわゆる「交通空白」地区といえるエリアは、全国に合計2,057地区存在するとされ、そのうち7割以上では交通空白解消に向けた具体的取組も実施されていない状態という。

地方部はもちろん都市部においても、人口減少や少子高齢化、運転者をはじめとする人手不足などからバスやタクシーが担ってきた、鉄道駅から先の地域交通課題が深刻化し、近年は交通空白の問題が顕在化してきているとされる。

こうした地域交通の空白問題などに対し、公共ライドシェアや日本版ライドシェア、乗り合いタクシーなどの解決策も登場してきているが、運転手なしでも一人で短距離移動できる手段の確保、マイクロモビリティシェアのサービスも、今後は重要な役割を担うものとLuupでは考えているという。

現在同社では、電動アシスト自転車と電動キックボードの提供により、このマイクロモビリティシェアサービスを進めているが、今秋以降には電動シートボードの導入も予定、ポート数14,500カ所以上、アプリダウンロード数450万超、展開エリア21都道府県計62市区町村まで事業を拡大させてきた。

通勤や通学、買い物などの日常移動用途による利用のほか、訪問介護事業者などエッセンシャルワーカーの移動手段としても活用されているとされる。

こうした既存のLuupサービス・車両は、20~50代の利用がメインだが、社会課題の解決という面では、やはり高齢者も含めさらに幅広い人々が無理なく利用できるものでなくてはならない。そこで生み出されたのが、今回の「Unimo」となる。

身体的負担を最小に、安定感ある乗り心地で
ユニバーサルカーとしてデザインされた「Unimo」は、幅広い世代が取り扱える走行時・静止時の安定性を重視して開発されているほか、身体的負担を最小限に移動可能とすること、若年層から高齢者まで誰もが乗りたいと思えるデザインであること、ユーザーに合わせて最高速度や走行補助機能をパーソナライズできるものであることをポイントとする。

車両区分は「特定小型原動機付自転車」で、16歳以上であれば運転免許不要で乗車できる。制限速度は車道通行時が時速20km、一部の歩道や路側帯の通行時は時速6kmとなる。よって免許返納後の高齢者の足となることや、これまで以上に幅広い人々の短距離移動手段となることが期待されている。


アイシンの「リーンアシスト制御」技術を搭載し、車速とハンドル角などの情報から車体の傾斜角を制御、二輪車並みの幅の狭い車両でも、高い走行安定性を実現した。走行状況のデータをリアルタイムに捉え、それに応じて制御・アシストを行うため、車両姿勢も安定、年齢を問わず安心して乗車できる。

さらにLuupのシェアリング網を活かすため、既存ポートに停車可能なサイズとして設計、交通サービスとして速やかな普及が叶うように工夫している。IoTモジュールの搭載により、スマホアプリやサーバーからのさまざまな操作・制御も可能という。

Luupでは「Unimo」の普及を通じ、全国の地域交通における課題解決に貢献していきたい考えで、社会実装までにはさらなる安全性向上、自動運転技術の搭載や量産化など、越えるべき壁もあるものの、まずはコンセプトモデルを通じ、全国の人々と対話・連携を進めて実現に向けた歩みを加速させたいとした。

(画像はプレスリリースより)

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