2025年8月12日
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「極低硫黄燃料油(VLSFO)の世界市場2025年」調査資料を発表しました。資料には、極低硫黄燃料油(VLSFO)のグローバル市場規模、動向、予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。


■主な掲載内容
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極低硫黄燃料油(VLSFO)市場の概要と将来展望(2023年~2030年)
最新の調査によると、2023年における世界の極低硫黄燃料油(VLSFO)市場規模は約3,460億米ドルと評価されており、2030年には約5,872億米ドルに達すると予測されています。予測期間中の年平均成長率(CAGR)は7.8%と見込まれており、今後の成長が期待される分野です。
VLSFOは、原油からガソリンや軽油などを分離した後に残る重質残渣から生成される精製油の一種で、特に船舶向け燃料として使用されています。硫黄含有量が非常に少ないのが特徴で、環境規制に対応した次世代の船舶燃料として注目されています。
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国際海事機関(IMO)規制と燃料油の分類
IMO(国際海事機関)は、2020年1月1日以降、全世界の海上船舶に使用される燃料油の硫黄含有量を0.5%以下に制限する規制を導入しました。この規制の下で、船舶燃料は以下の3つに大別されます。
● 高硫黄燃料油(HSFO):硫黄含有量3.5%。スクラバー(脱硫装置)を備えた船舶のみ使用可能。
● 低硫黄燃料油(LSFO/VLSFO):硫黄含有量0.5%以下。現在の市場主流。
● 超低硫黄燃料油(ULSFO):硫黄含有量0.1%以下。欧米や中国の排出規制海域(ECA)ではこちらの使用が義務付けられています。

こうした規制により、VLSFOの需要が急拡大しています。
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市場セグメントと用途
VLSFO市場は、主に以下のようなタイプと用途に分類されます。
タイプ別
● 重質燃料油:船舶の大型エンジンなどに使用されることが多く、コスト効率に優れています。
● 軽質燃料油:発電設備や軽負荷用の内燃機関などに使われ、燃焼効率が高いのが特徴です。
用途別
● 船舶:主要用途であり、海運会社やタンカー事業者の間で需要が集中しています。
● その他:発電所、建設業、化学プラントなど、産業用途に広く利用されています。
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地域別市場動向
アジア太平洋地域(特に中国)
本市場の中心はアジア太平洋地域であり、特に中国が圧倒的な成長を見せています。国内での旺盛な海運需要に加え、政府の政策支援や製油インフラの整備も成長を後押ししています。
北米・欧州
北米および欧州では、環境規制と持続可能な海運への関心の高まりにより、VLSFOの需要が着実に増加しています。特に欧州は0.1%の超低硫黄規制が適用されるECA区域が多く、市場成長のドライバーとなっています。
中南米・中東・アフリカ
これらの地域でも港湾整備や船舶燃料供給体制の近代化が進み、VLSFOの導入が拡大しつつあります。特にブラジルや南アフリカ、アラブ首長国連邦では輸出入にかかる主要航路のハブとして注目されています。

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技術トレンドと市場動向
VLSFO市場では、脱硫技術やブレンド技術の革新が急速に進んでいます。従来の高硫黄燃料油を代替するため、精製所では高度な処理技術によってVLSFOを生産しており、今後も製品品質の均質化が課題となります。
また、温室効果ガス(GHG)排出規制に対応するため、VLSFOとLNG(液化天然ガス)やバイオ燃料との併用も試みられており、持続可能性への対応が加速しています。
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競合環境と主要企業の動向
本レポートでは、グローバルな大手エネルギー企業が多数登場しており、それぞれが供給ネットワークの拡充、港湾インフラとの連携、価格競争力の確保に取り組んでいます。
中でも、アジアや中東の国営石油会社は、精製能力の増強と物流体制の整備に注力しており、世界的なサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしています。一方、欧州や北米の企業は、技術革新と環境対応型製品開発を強みとしています。
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市場の課題と将来展望
VLSFO市場は今後も拡大が予測される一方で、以下のような課題も存在します。
● 供給の安定性:各地の製油所能力や輸送インフラに依存するため、地域格差が生じやすいです。
● 価格の変動性:原油価格や精製コスト、地政学リスクなどにより、価格が不安定になる可能性があります。
● 環境負荷との両立:VLSFOも温室効果ガスを排出するため、将来的にはさらなる脱炭素燃料への移行が求められるでしょう。
しかしながら、国際的な規制強化とともに「脱硫対応」と「エネルギー効率向上」の両立が求められている現在、VLSFOは過渡期の燃料として非常に重要な位置を占めています。
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今後の世界的な海運産業とエネルギー転換において、極低硫黄燃料油(VLSFO)は環境と経済の両立を図る重要な鍵となるでしょう。
世界的な規制と持続可能性への意識の高まりが、VLSFO市場のさらなる拡大を後押しするものと考えられます。

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目次

1 市場概要
1.1 極低硫黄燃料油(VLSFO)の製品概要と適用範囲
1.2 市場推計の前提条件と基準年
1.3 タイプ別市場分析
1.3.1 タイプ別世界消費額の概要(2019年・2023年・2030年)
1.3.2 重油タイプ
1.3.3 軽油タイプ
1.4 用途別市場分析
1.4.1 用途別世界消費額の概要(2019年・2023年・2030年)
1.4.2 船舶燃料用途
1.4.3 その他用途
1.5 世界市場規模と予測
1.5.1 消費額(2019年・2023年・2030年)
1.5.2 販売数量(2019~2030年)
1.5.3 平均価格(2019~2030年)
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2 主要企業のプロフィール
※各社共通の構成:企業情報、主力事業、VLSFO製品・サービス、販売数量・平均価格・売上高・粗利益・市場シェア(2019~2024年)、最近の動向
● Qatar Petroleum
● Shell
● TotalEnergies
● ExxonMobil
● Monjasa
● Stena Oil
● Petrobras
● Cepsa
● Viva Energy
● BP
● Sinopec
● SK Energy
● Singapore Refining Company (SRC)
● Vitol Bunkers
● Uniper Energy DMCC
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3 メーカー別競争環境
3.1 メーカー別販売数量(2019~2024年)
3.2 メーカー別売上高(2019~2024年)
3.3 メーカー別平均価格(2019~2024年)
3.4 市場シェア分析(2023年)
3.4.1 メーカー別売上高と市場シェア(2023年)
3.4.2 上位3社の市場シェア
3.4.3 上位6社の市場シェア
3.5 メーカーの市場展開状況
3.5.1 地域別展開状況
3.5.2 製品タイプ別展開状況
3.5.3 用途別展開状況
3.6 新規参入企業と参入障壁
3.7 合併・買収・契約・提携の動向
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4 地域別消費分析
4.1 地域別市場規模
4.1.1 地域別販売数量(2019~2030年)
4.1.2 地域別消費額(2019~2030年)
4.1.3 地域別平均価格(2019~2030年)
4.2 北米地域の消費額(2019~2030年)
4.3 欧州地域の消費額(2019~2030年)
4.4 アジア太平洋地域の消費額(2019~2030年)
4.5 南米地域の消費額(2019~2030年)
4.6 中東・アフリカ地域の消費額(2019~2030年)
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5 タイプ別市場セグメント
5.1 タイプ別販売数量(2019~2030年)
5.2 タイプ別消費額(2019~2030年)
5.3 タイプ別平均価格(2019~2030年)
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6 用途別市場セグメント
6.1 用途別販売数量(2019~2030年)
6.2 用途別消費額(2019~2030年)
6.3 用途別平均価格(2019~2030年)
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7 北米市場分析
7.1 タイプ別販売数量
7.2 用途別販売数量
7.3 国別市場規模
7.3.1 国別販売数量
7.3.2 国別消費額
7.3.3 米国
7.3.4 カナダ
7.3.5 メキシコ
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8 欧州市場分析
8.1 タイプ別販売数量
8.2 用途別販売数量
8.3 国別市場規模
8.3.1 国別販売数量
8.3.2 国別消費額
8.3.3 ドイツ
8.3.4 フランス
8.3.5 イギリス
8.3.6 ロシア
8.3.7 イタリア
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9 アジア太平洋市場分析
9.1 タイプ別販売数量
9.2 用途別販売数量
9.3 地域別市場規模
9.3.1 地域別販売数量
9.3.2 地域別消費額
9.3.3 中国
9.3.4 日本
9.3.5 韓国
9.3.6 インド
9.3.7 東南アジア
9.3.8 オーストラリア
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10 南米市場分析
10.1 タイプ別販売数量
10.2 用途別販売数量
10.3 国別市場規模
10.3.1 国別販売数量
10.3.2 国別消費額
10.3.3 ブラジル
10.3.4 アルゼンチン
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11 中東・アフリカ市場分析
11.1 タイプ別販売数量
11.2 用途別販売数量
11.3 国別市場規模
11.3.1 国別販売数量
11.3.2 国別消費額
11.3.3 トルコ
11.3.4 エジプト
11.3.5 サウジアラビア
11.3.6 南アフリカ
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12 市場動向分析
12.1 成長要因
12.2 市場抑制要因
12.3 市場トレンド分析
12.4 ポーターのファイブフォース分析
12.4.1 新規参入の脅威
12.4.2 供給者の交渉力
12.4.3 顧客の交渉力
12.4.4 代替品の脅威
12.4.5 業界内競争の激しさ
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13 原材料および産業チェーン
13.1 原材料と主要供給メーカー
13.2 製造コスト構成比
13.3 製造プロセス
13.4 産業チェーン構造
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14 流通チャネル別出荷分析
14.1 販売チャネル
14.1.1 エンドユーザー向け直販
14.1.2 販売代理店経由
14.2 代表的な販売代理店
14.3 主な顧客企業
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15 調査結果および結論
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16 付録
16.1 調査手法
16.2 調査プロセスおよびデータソース
16.3 免責事項
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【極低硫黄燃料油(VLSFO)について】

極低硫黄燃料油(VLSFO)は、硫黄含有量が0.5%以下に抑えられた船舶用燃料油です。これは、国際海事機関(IMO)が2020年1月に施行した「IMO 2020」規制に対応するために導入されたもので、従来の重油(HFO)と比較して硫黄酸化物(SOx)の排出を大幅に削減できる環境配慮型の燃料です。SOxは酸性雨や大気汚染の原因となるため、その排出削減は海洋環境や沿岸地域の大気品質改善に大きく貢献します。

VLSFOの特徴は、硫黄分が極めて少ないにもかかわらず、HFOと同程度のエネルギー密度を持ち、燃料としての性能を維持している点です。多くのVLSFOは、残渣油と軽質留分をブレンドして作られており、粘度や密度、流動点などの性質は製造元によって異なることがあります。このため、取り扱いや貯蔵時には安定性や互換性を確認することが重要です。また、フィルター詰まりやスラッジの発生といった運用上の課題があるため、適切な管理が求められます。

VLSFOにはいくつかのグレードがあり、ISO 8217で規定されるRMG(中粘度)やRMK(高粘度)などに分類されます。さらに、排出規制海域(ECA)では、硫黄分が0.1%以下の超低硫黄燃料油(ULSFO)やマリンガスオイル(MGO)の使用が義務付けられることもあります。

主な用途は、国際航行を行う商船、タンカー、コンテナ船、クルーズ船などの主機や補機の燃料として使用されます。スクラバーを搭載していない船舶でもこの燃料を使用することで環境規制に適合できるため、多くの船舶で採用されています。
極低硫黄燃料油は、今後も環境と経済性を両立する船舶用燃料として広く利用されていくことが期待されています。


■レポートの詳細内容はこちら
https://www.marketresearch.co.jp/mrc/global-very-low-sulphur-fuel-oil-market-2025/

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■株式会社マーケットリサーチセンターについて
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主な事業内容:市場調査レポ-トの作成・販売、市場調査サ-ビス提供
本社住所:〒105-0004東京都港区新橋1-18-21
TEL:03-6161-6097FAX:03-6869-4797
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