「スペーシア ベースは、スペーシアを基に後ろのスペースがいろいろなことに使えるというのが着眼点です。スペーシアの後席シートそのままだと、倒したときにフラットになりきれなかったりします。そこで、商用車のようなシートにすることによって、フルフラットな荷室が出来上がりますと。それが基本的な構想でした。そこから、このクルマが乗用タイプのスペーシアとは違う価値観を持たないと売りにならないと考えて、後ろの空間でいろいろなことをやりたいよねと。その結果、全車標準装備となるマルチボードのアイデアが生まれました」
【画像】アレンジ多彩! スペーシア ベースのボード
マルチボードは、下記4つのモードにアレンジが可能。目的に合わせて室内空間を自由に変更できる。
・上段モード…荷室床面からボード下面の高さを430㎜に設定。折りたたんだ後席を椅子として使い、モバイルオフィスや現場での打ち合わせなどに活用できる。
・中段モード…床面からの高さを290㎜とし、折りたたんだ後席にあぐらをかいて座れる高さとした。テレワークや移動販売に活用できる。
・下段モード…床面からの高さを165㎜とし、前席の背もたれを後ろに倒してマルチボードと同じ高さにするとほぼフラットになり、車中泊や長尺物の積載に使える。荷室床面とマルチボードの間の空間にも荷物を入れられるので車中泊時にも便利。
・前後分割モード…後席をダイブダウンさせると平らな荷室が生まれ、マルチボードを後席背もたれのあたりに立てて格納。前側に805㎜、後ろ側に545㎜の独立したスペースが生まれる。ペットとの旅行やスーツケースの積載などのシーンで使いやすい。
さらにマルチボードはリバーシブルで使えるようになっていて、テーブルとして使いたいときは衛生的にきれいな面、荷物を積むときには裏側の面を使えるようにしたという。
「開発時に特にこだわったのは、マルチボード絡みの部分ですね。本当に最後の最後までレベルアップしました。スペーシアの派生車といいながらも、新型車と同じくらいの変更範囲になっています。マルチボードは一番売りのところですので、しっかりと仕立てたいという思いがありました。そういう意味で、単純なようでじつはいろいろ工夫、試行錯誤しました。
そのなかで、開発初期にマルチボードの高さを決める時に、どこがベストなんだと。
マルチボードへの思い入れは並々ならぬものがあったのである。
〈文=ドライバーWeb編集部〉