先日、岩手県の「平泉」の世界遺産登録が見送られたというニュースが、話題となっていた。
浄土思想が「普遍的価値」として認められなかったなどが、その理由だが、超ビギナーの疑問として浮かんだのは、「なぜ中尊寺金色堂で申請しなかったのだろう」ということ。
国宝でもある金色堂は、日本人にとってはかなり有名で特徴的な存在だが、難しいの?
平泉町役場の観光商工課に聞いてみたところ、
「申請などは、世界遺産推進室が行っていますが、詳細は岩手県の教育委員会に聞いてもらったほうが良いかと」
とのこと。
教育委員会に問い合わせてみると、近年、世界遺産の厳格化によって、登録が難しくなっていることを挙げ、さらにこんな説明をしてくれた。
「金色堂は、内部の漆工芸などが特徴的ではあるのですが、建築法そのものが唯一無二のものというわけではありません。特に、近年では、建物単体としての登録が、かなり難しくなっているため、文化庁などの指導もあって、建物単体ではなく、平泉としての申請としているんですよ」
もちろん姫路城など、国内にも建物単体で世界遺産になっているものは、過去にはそれなりにあるわけだが、近年は傾向が変わってきているということのよう。
ところで、金色堂というと、もうひとつ、以前から気になっていた疑問がある。
金色堂は、ガラススクリーンで覆われ、さらに鉄筋コンクリートの「覆堂」で覆われている。
つまり、建物を建物がすっぽり覆っているかたちなのだが、これがかなりギリギリのスペースにつくられているため、間近から部分を見ることになり、全景を見渡しづらいのだ。
敷地面積にはまだまだゆとりがあるように見えるのだけど、なぜこんなにもギリギリに覆いをつくったんでしょう? 中尊寺に聞いてみると、担当者がこんな説明をしてくれた。
「やはり立地条件のためですね。あまり大きなものが建ったら、違和感が出てしまいます。また、コンクリートの覆堂が建つ以前、鎌倉幕府によって建てられた旧覆堂のほうがずっとギリギリで、以前に比べると見るスペースなどもずいぶん広くなったんですよ」
実は、「ギリギリ!!」と思った現在の新覆堂は、旧覆堂に比べ、面積としては3倍くらいもあるのだそうだ。
ちなみに、書籍やパンフレットなどで見る「金色堂」の写真は、覆堂の外観であることが多く、金色のお堂はあまり見られる機会がない。
これは、覆堂内にギリギリに納まっているから、全景写真を撮りづらいなどの理由ではなく、
「意図しないところで使われるのを防ぐため」とか。
ずいぶんギリギリのスペースに見える「覆堂」は、本来の金色堂を「覆って護る」という目的と、敷地内の調和とのギリギリのラインを保っているもののようです。
(田幸和歌子)
浄土思想が「普遍的価値」として認められなかったなどが、その理由だが、超ビギナーの疑問として浮かんだのは、「なぜ中尊寺金色堂で申請しなかったのだろう」ということ。
町全体よりも、金色堂単体だったら登録された可能性はないのだろうか。
国宝でもある金色堂は、日本人にとってはかなり有名で特徴的な存在だが、難しいの?
平泉町役場の観光商工課に聞いてみたところ、
「申請などは、世界遺産推進室が行っていますが、詳細は岩手県の教育委員会に聞いてもらったほうが良いかと」
とのこと。
教育委員会に問い合わせてみると、近年、世界遺産の厳格化によって、登録が難しくなっていることを挙げ、さらにこんな説明をしてくれた。
「金色堂は、内部の漆工芸などが特徴的ではあるのですが、建築法そのものが唯一無二のものというわけではありません。特に、近年では、建物単体としての登録が、かなり難しくなっているため、文化庁などの指導もあって、建物単体ではなく、平泉としての申請としているんですよ」
もちろん姫路城など、国内にも建物単体で世界遺産になっているものは、過去にはそれなりにあるわけだが、近年は傾向が変わってきているということのよう。
ところで、金色堂というと、もうひとつ、以前から気になっていた疑問がある。
金色堂は、ガラススクリーンで覆われ、さらに鉄筋コンクリートの「覆堂」で覆われている。
つまり、建物を建物がすっぽり覆っているかたちなのだが、これがかなりギリギリのスペースにつくられているため、間近から部分を見ることになり、全景を見渡しづらいのだ。
敷地面積にはまだまだゆとりがあるように見えるのだけど、なぜこんなにもギリギリに覆いをつくったんでしょう? 中尊寺に聞いてみると、担当者がこんな説明をしてくれた。
「やはり立地条件のためですね。あまり大きなものが建ったら、違和感が出てしまいます。また、コンクリートの覆堂が建つ以前、鎌倉幕府によって建てられた旧覆堂のほうがずっとギリギリで、以前に比べると見るスペースなどもずいぶん広くなったんですよ」
実は、「ギリギリ!!」と思った現在の新覆堂は、旧覆堂に比べ、面積としては3倍くらいもあるのだそうだ。
ちなみに、書籍やパンフレットなどで見る「金色堂」の写真は、覆堂の外観であることが多く、金色のお堂はあまり見られる機会がない。
これは、覆堂内にギリギリに納まっているから、全景写真を撮りづらいなどの理由ではなく、
「意図しないところで使われるのを防ぐため」とか。
ずいぶんギリギリのスペースに見える「覆堂」は、本来の金色堂を「覆って護る」という目的と、敷地内の調和とのギリギリのラインを保っているもののようです。
(田幸和歌子)
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