寒さも本格化した今日この頃、トランプやかるたの出番となる季節でもある。
そんななか、見つけたのが、コレ。
『歴史人物かるた 日本を動かした44人』(小峰書店)だ。

小学校の歴史で習う最重要人物44人として、誰が選ばれているのかも気になるところだけど、「かるた」と言うからには、当然、五十音で始めなければいけないわけで……。
これ、実はけっこう難儀な作業である。そもそも、日本の歴史で重要な人物を順に思い浮かべたところ、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康……。あ! 豊臣も徳川も「と」だ。いきなり愚かにも、3人目で、頭の文字がかぶってしまったではないか。人名ではなく、業績や関連事項でも、やっぱり早々にかぶってしまいそう。

版元の小峰書店に聞いてみると……。
「これは非常に向こう見ずな企画でした。44人の人物を『あいうえお』に当てはめるのに、まず苦労いたしました。人物ごとの業績を織り込んだうえで、44音に振り分けなければならないのはもちろん、たとえば、『武士』とか『仏教』などのきわめて重要な用語でも、かるたの性質上、濁点がついている言葉は頭にもってくることができません。先輩たちとともに、頭を悩ませながら、言葉をひねり出しました」
と、編集部の渡邊航さん。


絵札の裏には学習に役立つひとくち解説として、「時代」「出身地」「人物」「業績」などが書かれていて、子どもの勉強に役立ちそうなのだが、注目したいのは、絵札の背景。非常に凝っており、大人の歴史ファンも細かな発見を楽しめるつくりになっているのだ。
「たとえば、紫式部の札に『源氏物語』の登場人物・光源氏と紫の上が描き込まれていたり、金閣を建てた足利義満の札に、義満がさかんにしたとされる能の能面が描き込まれていたりします」

さらに、鑑真の絵札は、指で「6」を示しているのだが、これ、何でしょう? 正解は……。
「鑑真は、何度も航海に失敗して、6度目にようやく来日を果たしているんですよ」
なるほど。「絵解き」も楽しめる仕掛けになっているというわけだ。

さらに、おまけは「下克上」が体感できる「天下取りバトルゲーム」。いまどきの遊びも、歴史すごろくでやっちゃおうというわけである。

歴史をあまり知らない子どもも、歴史ファンの大人も、それぞれの楽しみ方ができる『歴史人物かるた』。
この冬の楽しみに、ぜひ。
(田幸和歌子)
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