お酒を飲み始めた瞬間から、膀胱との闘いは始まる。

飲んでるときの尿意は、すぐにガマンの限界を迎える。
でもトイレに出ることで、隣の席の人に毎回どいてもらうのが申し訳ないし、盛り上がってた会話を途切れさせたくないし、トイレから戻ってきたとき、さっきまで盛り上がってた席に他の人が座ってるのは残念でならない。だからなるべくならトイレに行きたくない。
ところが多くの場合、抵抗も虚しく僕らは敗れる。しかもそれは、1回の飲みの中で何度も何度も。

ただ、そんな厄介者の膀胱になぜか勝つこともある。いつもと同じものを飲んでるのに、トイレへ行かずに済むことがある。
どうしてトイレがやけに近い日と、そうじゃない日があるんだろうか? 泌尿器科のお医者さんに話を伺った。

「大きな要因として考えられるのは、飲む直前の体の水分量です。お酒の利尿作用といわれるものでは、主な要因に、アルコールが体の細胞内の水分を奪い、体の外に出すことが挙げられます。そのため細胞の水分(体の水分)が多い状態でお酒を飲めば、それだけ多くの水分を外に出すことになり、トイレへ行く回数が多くなるというわけです。逆に細胞内の水分量が少ないときは、アルコールに奪われる水分が少ないため、トイレへ行く回数は減ります」

もちろん水分の多いお酒を飲めば、トイレは近くなる。これも、体に多くの水分が入るために、細胞の水分量が増えるっていうこと。
メカニズムとしては同じだ。トイレが近い日とそうじゃない日を分けるのは、そういった仕組みらしい。

ってことは、体が渇いた状態で水分の少ないお酒を飲んでれば、トイレへ行く回数は減らせるはず。これが膀胱攻略法?……なんて浅はかな考えは捨てたほうがいい。

「アルコールに水分を奪われるため、うまく水分をとりながら飲まないと、脱水症状になる危険があります。また脳や血液の水分も減るため、脱水症状以外にもさまざまな危険が考えられます。うまく水分をとりながらお酒を飲んでください」

実はお酒を飲む前から始まっていた、膀胱との闘い。
でも闘いに勝とうとして、トイレへ行かない代わりに、病院へ行くことになっちゃいけない。

厄介者の膀胱とは、仲良く付き合っていくしかないみたいです。
(イチカワ)
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